精選版 日本国語大辞典 「鉦叩」の意味・読み・例文・類語
かね‐たたき【鉦叩】
- 〘 名詞 〙
- ① 鉦をたたいて仏を念ずること。また、その人。
- [初出の実例]「かねたたき。息のをの苦しき時は鉦鼓こそ南無阿彌陀仏の声助けなれ」(出典:三十二番職人歌合(1494頃)二四番)
- ② 鉦をたたいて経文などを唱え、金品を乞い歩く乞食(こじき)。鉦叩き坊主。
- [初出の実例]「一、高声念仏・金叩・屓頭陁一向可停止事」(出典:高野山文書‐応永二〇年(1413)五月二六日・高野山五番衆契状)
- ③ 仏具の一つ。鐘、半鐘、磬(けい)などを鳴らす棒。撞木(しゅもく)。
- ④ バッタ(直翅)目カネタタキ科の昆虫。体長約一センチメートル。頭と胸は褐色、腹は黒褐色。頭部に一対の長い触角がある。雌にははねがないが、雄には一対の黒褐色の短い前ばねだけがある。成虫は八月ごろ生け垣や低木などにみられ、雄はチンチンとかねをたたくように鳴く。関東から沖縄にかけて分布。かねつきむし。《 季語・秋 》 〔生物学語彙(1884)〕
- [初出の実例]「金雲雀、邯鄲(かんたん)、鉦叩(カネタタキ)など、間々数寄者の間に飼養せらる」(出典:東京風俗志(1899‐1902)〈平出鏗二郎〉下)
- ⑤ 魚「めだか(目高)」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕
- ⑥ 魚「まとうだい(的鯛)」の異名。
- ⑦ 鳥「くいな(水鶏)」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕