日本大百科全書(ニッポニカ) 「鉱山救護隊」の意味・わかりやすい解説
鉱山救護隊
こうざんきゅうごたい
mine rescue party
mine rescue team
鉱山、炭鉱において、酸素呼吸器を着装し有害ガス中または酸素欠損の空気中で探検、人命救助、災害の拡大防止、復旧などの作業をするために設けられる組織。爆発性ガスの発生の多い甲種炭坑をもつ炭鉱では、鉱山保安法規の規定によって甲種鉱山救護隊を設けなければならない。これは、1班の人員を5人以上とし、5班以上を編成し、かつ酸素呼吸器24組以上とその付属品を備えておく。甲種炭坑以外の炭鉱、鉱山で監督官庁から指定された場合、または自ら希望する場合は、前記に準じた編成で乙種鉱山救護隊を設ける。
鉱山救護隊の活動は高度の技術、体力および責任感を必要とするので、隊員は年齢20歳以上40歳未満で身体強健、技術優秀で各鉱山の坑内事情に精通した者で、北海道または九州の鉱山保安センターで行われる36時間以上の有資格者講習を受け、所定の試験に合格しなければならない。隊員となったのちも、救護技術の維持・向上のため、3か月に1回以上各鉱山または鉱山保安センターで訓練を行わなければならない。救護隊の用いる代表的な酸素呼吸器は重さ14.2キログラムで、200気圧内容積1.1リットルの酸素ボンベを備え、坑内で3~4時間救護活動ができる。
[房村信雄]