鍬崎山(読み)くわさきやま

日本歴史地名大系 「鍬崎山」の解説

鍬崎山
くわさきやま

大山町にある標高二〇八九・七メートルの山。川の西、和田わだ川の東側にそびえ、立山山塊の前山であるが、富山平野からはその突出した三角錐形の山貌薬師やくし岳の悠大な山容と相並び、印象的である。文化―文政(一八〇四―三〇)以降の新川郡絵図等に記載され、鍬先・鍬尖・鍬崎・桑崎など用字は雑多。桑崎権現山とも称された。安政五年(一八五八)大鳶おおとんび崩れ大災害の際、この山に登って災害状況を観察した記録がある。すなわち「二月廿九日ニ川西路通り人足を以、下タ山原村之上体ニ字ナ桑崎山ト申ケ所ニ登り、夫より上体遠見仕候処、大難事之ケ所左ニ注進申上候」とあって、岩峅いわくら(現立山町)衆徒から加賀藩へつぶさに報告した書状が、安政五年二月大地震記(石川県金沢市立図書館蔵)に収録されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「鍬崎山」の意味・わかりやすい解説

鍬崎山
くわざきやま

富山県富山市にある山。常願寺(じょうがんじ)川本流と支流和田川との間にそびえ、標高2090メートル。立山連峰(たてやまれんぽう)の前山としては最高を示し、富山平野からも弥陀(みだ)ヶ原からもよく見える壮年期の山である。山体はもっとも古い岩石といわれる飛騨(ひだ)変成岩で構成されている。富山城主であった佐々成政(さっさなりまさ)がこの山に黄金30万両を埋めたという伝説がある。登山路はないが、積雪のある5月ごろ登山家なら登ることは可能である。

[深井三郎]

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