長岡庄・堀尾庄（読み）ながおかのしよう・ほりおのしよう

日本歴史地名大系

長岡庄・堀尾庄
ながおかのしよう・ほりおのしよう

• 岐阜県：羽島市
• 長岡庄・堀尾庄

長岡庄・堀尾庄とも摂関家（近衛家）領で、長岡庄は現海津（かいづ）郡平田（ひらた）町・海津町から羽島市南部、さらに愛知県中島（なかしま）郡祖父江（そぶえ）町西部に及んでいたとみられる。堀尾庄は長岡庄の西に接して所在したが、比定地は未詳。

〔長岡庄〕

建長三年（一二五一）一〇月の摂政家政所下文案（書陵部本参軍要略抄下裏文書）に「尾張国長岡庄」とみえ、寛治八年（一〇九四）国衙との相論に際して確定された長岡庄の本来の四至は「東限河東岸　西限為社　南限大和田堺　北限大榑庄堺」とある。建長五年一〇月二一日の近衛家所領目録（近衛家文書）では「庄務本所進退所々」の一としてあげられ、「高陽院領内」と注記されている。高陽院藤原泰子は藤原忠実の女で、鳥羽院の皇后である。長岡庄は高陽院の時代に摂関家領として確立し、藤原忠通―基実（近衛家祖）と伝領されたのであろう。なお同目録には「西、重有」「東、重房朝臣」の注記もあり、庄が東西に分けられ、各々別の知行主（預所）によって支配されていたことがわかる。鎌倉時代の長岡庄地頭は、後述の長瀬次郎・「頭（ママ）宮盛氏」のほか、文暦二年（一二三五）七月七日、承久の乱の賞として佐々木信綱が補任されている（「吾妻鏡」嘉禎元年七月五日条）。また延応元年（一二三九）一〇月二〇日に高橋秋助が長岡庄河東石田（いしだ）郷の郷司職に補任されており、その後も高橋氏が同職を世襲した（→石田村）。また長岡庄下司職・田所職も高橋氏が世襲している（「長岡庄下司并田所職相伝系図」毛利文書）。

〔堀尾庄〕

建永元年（一二〇六）五月二〇日の摂政家政所下文案（前掲参軍要略抄下裏文書。以下同文書は省略）にみえ、前掲建長五年の所領目録では請所の一としてあげられ、同じく「高陽院領内」の注記がある。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」