日本大百科全書(ニッポニカ) 「長白山地」の意味・わかりやすい解説
長白山地
ちょうはくさんち / チャンパイシャン
中国の黒竜江(こくりゅうこう/ヘイロンチヤン)・吉林(きつりん/チーリン)・遼寧(りょうねい/リヤオニン)3省の東部および北朝鮮との国境付近を東北東から西南西に連なる多くの波状山地の総称。標高は北の老爺嶺(ろうやれい)で1115メートル、南の老嶺で1845メートル、中部の白頭山(はくとうさん)は2744メートルに達する。多くは古・中・新生代の貫入・噴出酸性岩類の侵食山地、白頭山などはアルカリ性の玄武岩台地である。北東部は穆棱(ぼくりょう)―延吉(えんきつ)深震区とよばれ、20世紀にも数回の大地震が発生した。気温は低地で1月が零下20℃、7月が20℃、年降水量は南部で800ミリメートル、北部で500ミリメートル程度なので森林がよく発達している。南部の低地ではチョウセンゴヨウ、モミ、モンゴリナラ、サワシバ、カエデ、ハルニレなどの混合林、北部と南部の高地(標高1100メートル以上)はチョウセンゴヨウ、トウヒ、シナノキ、シラカバなどの混合林が広がる。森林では薬用ニンジン、紫皮貂(しひてん)、鹿茸(ろくじょう)、林間耕地では春小麦、大豆、トウモロコシ、コウリャン、テンサイ、亜麻(あま)を産出する。
[浅井辰郎]