鹿茸
ろくじょう
『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』の中品(ちゅうほん)に収載されている漢薬。シカ科のマンシュウアカジカCervus elaphus L. var. xanthopygus Milne-EdwardsおよびマンシュウジカC. nippon Temminck var. mantchuricus Swinhoeなどの雄のまだ角化していない、もしくはわずかに角化した幼角(袋角(ふくろづの))を乾燥したもので、古来から強壮、強精、鎮痛薬として多くの病気に応用されてきた。含有する成分としてはコラーゲン、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、タンパク質などがあげられる。なお、卵胞ホルモン(エストロン)を含むという報告も出されている。
[難波恒雄・御影雅幸]
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ろく‐じょう【鹿茸】
〘名〙
①
鹿の袋角(ふくろづの)。初夏、角の落ちたあと、新しく生えて瘤のようになったもの。補精
強壮剤として珍重される。《季・夏》
※徒然草(1331頃)一四九「鹿茸を
鼻にあてて嗅ぐべからず。小さき虫ありて、鼻より入りて
脳を食むといへり」
しし‐たけ【鹿茸】
※料理物語(1643)六「かうたけ に物。茶ぐはし。鹿たけともいふ」
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出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
世界大百科事典内の鹿茸の言及
【シカ(鹿)】より
…江戸後期の儒学者羽倉簡堂の《饌書》によれば,鹿は冬が美味で,胸肉がもっともよく後肢がこれにつぐとされ,料理としてはすき焼風のなべ料理が歓迎されるようになっていた。なお,鹿の角,とくに袋角は鹿茸(ろくじよう)といって薬用とされた。鹿茸は粉末にして眼科に用いるとされるが,補精強壮剤にもされたようである。…
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