関和久上町遺跡(読み)せきわぐかみちよういせき

日本歴史地名大系 「関和久上町遺跡」の解説

関和久上町遺跡
せきわぐかみちよういせき

[現在地名]泉崎村関和久

阿武隈川左岸に形成された段丘上に立地する。付近には古代白河郡家跡として国指定史跡の関和久官衙遺跡や、白河郡の付属寺院と考えられる白河市借宿かりやど廃寺が隣接する。関和久官衙遺跡の北東にある当遺跡は、「続日本紀」の記事にある神亀五年(七二八)設置の白河軍団の有力な擬定地と考えられてきたことから、関和久官衙遺跡の調査に引続き昭和五七年(一九八二)から平成三年(一九九一)までの間一〇次にわたり史跡指定のための範囲確認調査が継続された。この結果、正殿と考えられる大型の掘立柱建物跡を中心として、遺跡全体が南北に長い長方形に二重に区画されていること、その区画施設や規模は、内郭が溝もしくは板塀築地塀により南北一一八メートル・東西九〇メートル、外郭は築地塀・溝により南北二〇〇メートル・東西一八二メートルに及ぶこと、時期は八世紀をさかのぼる段階から九世紀後半に至り、従前の軍団説を裏付ける材料に欠け、むしろ優れた規格性により官衙的な色彩が濃厚であることから、関和久官衙遺跡を正倉域、当遺跡を郡庁域とし、ともに白河郡衙を構成する要素として並存するという結論に至っている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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