防錆剤（読み）ボウセイザイ（その他表記）corrosion inhibitor

デジタル大辞泉

ぼうせい‐ざい〔バウセイ‐〕【防^×錆剤】

金属の錆さびの発生を防ぐ薬剤。ふつう表面に塗布して用いる。さび止め。インヒビター。

出典　小学館

改訂新版　世界大百科事典

防錆剤 (ぼうせいざい)
corrosion inhibitor

インヒビターともいう。金属材料のさび（錆）発生を抑制する性質をもった薬剤。さびを伴わない腐食の抑制も含めて腐食抑制剤ともいうが，腐食抑制剤には防食の目的で使われる環境処理用薬剤を含めた広い意味もある。鉄鋼製品の運搬や貯蔵のため一時的に使用される防錆剤にはダイカンDICHAN（ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライトの略称）が代表的であり，包装紙の表面にこの薬剤を塗布した防錆紙が広く使われる。ただしこの防錆紙は鉄鋼以外には効果がない。銅および銅合金の変色防止用としてはベントリBT（ベンゾトリアゾールの略称）が代表的である。水溶液環境の鉄鋼の防錆には亜硝酸塩，ケイ酸塩，ポリリン酸塩などの無機質のものや，アミン類，オキシ酸類などの有機質のものが使われる。苛性ソーダでpHを10以上に保つことも，よい腐食抑制作用を与えることになる。海水を利用した復水器に使われる銅合金管に対しては，硫酸鉄（Ⅱ）FeSO₄が古くから腐食抑制剤として知られている。防錆剤の使用が効果的である場合でも，飲料水のように使用対象によっては適用できない場合がある。クロム酸ナトリウムは鉄鋼に対するよい防錆剤であるが，公害防止の観点から使用が規制されている。
執筆者：増子 昇

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」

栄養・生化学辞典

防錆剤

　金属の錆の発生を防止する薬剤．

出典　朝倉書店