阻血性拘縮(読み)そけつせいこうしゅく(英語表記)ischemic contracture

世界大百科事典 第2版の解説

そけつせいこうしゅく【阻血性拘縮 ischemic contracture】

筋肉の血行障害のため,筋組織が強く障害されて繊維性の瘢痕(はんこん)組織に置き換えられ,筋肉伸縮性が失われて関節の可動制限をきたし,変形を生じたものをいう。フォルクマン拘縮Volkmann’s contractureとも呼ばれ,小児の肘関節部外傷とくに上腕骨顆上骨折の際ギプスによる緊縛で生ずることが多い。すなわち上腕骨顆上骨折の際,時間の経過とともに関節部の腫張はかなり著しくなるが,整復操作,とくにこれが何度か繰り返し行われた場合には腫張がいっそう増す。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

六訂版 家庭医学大全科の解説

阻血性拘縮
(外傷)

 四肢の筋は、伸縮性の(とぼ)しい強靭(きょうじん)な筋膜によっておおわれ、筋膜と骨が隔壁(かくへき)となってグループごとにいくつかの部屋に分けられ、これらの構造はコンパートメントと呼ばれています。

 コンパートメント内の圧は通常、局所の血圧より低いのですが、何らかの原因で内圧が高まって局所の血圧を上回る状態が続くと、筋や神経の血流障害が生じます。

 これをコンパートメント症候群といい、この血流遮断が6~8時間以上続くと筋肉は壊死(えし)に陥り、関節が曲がった状態で固まる阻血性拘縮となります。とくに前腕や手の重症な場合を、フォルクマン拘縮といいます。

原因

 阻血性拘縮の多くは、小児の上腕骨顆上(じょうわんこつかじょう)骨折、前腕骨(ぜんわんこつ)骨折などの際に引き起こされます。

 そのほか、骨折の部位や程度だけでなく、ギプスや包帯がきつすぎるために起こることもあります。的確な診断と処置を行えば十分防ぐことができます。

症状と診断

 診断では英語で「p」で始まる5つの徴候、すなわち、pain(疼痛)、pallor(蒼白)、paresthesia(知覚異常)、para-lysis(麻痺)、pulselessness(脈拍喪失)の5Pが有名で、最も参考になる症状は、指を他動的に伸展させた際の激痛(passive stretch)です。

治療

 前述の症状を見逃さず、迅速で正確な診断をすることが最も重要で、対処を誤ると悲惨な結果をまねきます。

 まず、包帯やギプスがきつすぎることが原因と考えられる場合は、これをゆるめます。それでも症状が短時間でよくならない場合には、8時間以内に筋膜を切開してコンパートメントの除圧を図ります。

 不可逆性の壊死が生じると手指は強い屈曲拘縮を示し、どのような再建を行っても十分な機能回復は困難になります。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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