阿倍広庭(読み)あべのひろにわ

改訂新版 世界大百科事典 「阿倍広庭」の意味・わかりやすい解説

阿倍広庭 (あべのひろにわ)
生没年:?-732(天平4)

奈良時代公卿阿倍御主人(みうし)の子。704年(慶雲1)従五位上のとき,前年没した父の功封100戸の4分の1をついだ。709年(和銅2)正五位下で伊予守となり,715年(霊亀1)従四位下宮内卿に転じ,721年(養老5)正四位下左大弁を経て,翌年参議となり,ついで知河内和泉事を兼任した。727年(神亀4)従三位で中納言に任ぜられ,732年2月没した。このとき中納言従三位兼催造宮長官知河内和泉等国事であった。《万葉集》《懐風藻》にその作品を遺している。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「阿倍広庭」の解説

阿倍広庭 あべの-ひろにわ

659-732 飛鳥(あすか)-奈良時代の公卿(くぎょう)。
斉明天皇5年生まれ。阿倍御主人(みうし)の子。伊予守,左大弁などをへて参議。神亀(じんき)4年従三位,中納言となり,のち催造宮長官をかねる。歌4首が「万葉集」巻3,6,8に,詩2編が「懐風藻」にみえる。天平(てんぴょう)4年2月22日死去。74歳。
格言など】児らが家道(いへぢ)やや間遠きをぬばたまの夜渡る月に競(きほ)ひあへむかも(「万葉集」)

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

朝日日本歴史人物事典 「阿倍広庭」の解説

阿倍広庭

没年:天平4.2.22(732.3.22)
生年:斉明5(659)
8世紀前半の公卿,文人。御主人の子。慶雲1(704)年父の功封を継ぐ。和銅2(709)年正五位下で伊予守となり,同8年宮内卿となる。養老6(722)年参議兼知河内和泉事となり,神亀4(727)年中納言に昇進。死没時には中納言従三位兼催造宮長官知和泉等国事。『万葉集』に「かくしつつ在らくを好みぞたまきはる短き命を長く欲りする」など4首,『懐風藻』に詩2首をのこす。

(今泉隆雄)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

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