ある方程式、たとえばx2+y2=1が与えられると、xの値を一つ定めれば、これから対応するyの値が求められ、yはxの関数として定まる。このようにして定められる関数を陰関数という。一般に二つの変数x、yに対して、2変数x、yの関数をゼロと置いた方程式f(x,y)=0において、xの値を決めたとき、yの値をf(x,y)=0を満たすようにただ一つ決めることができれば、yはxの関数となる。これは通常狭い範囲に考察を限らないといえない。すなわちx2+y2=1では、xは-1≦x≦1を満たす範囲になければならず、またそのときも、x2+y2=1からは一般にyの値が二つ出てくるので、それが一つに定まるように、ある点の近くで考えることにしなければならない。
前記のような事情から(関数が具体的な形で与えられた場合は別として)、一般に陰関数を考察するためには、次の定理が基礎とされる。
[竹之内脩]
f(x,y)はx、y2変数の連続関数で、そのyに関する偏導関数fy(x,y)が存在して連続であるとする。そのとき、
f(x0,y0)=0, fy(x0,y0)≠0
を満足する点(x0,y0)の近傍において、yはxの関数として表すことができる。すなわち、x0の近傍で定義された連続関数g(x)があって、
g(x0)=y0,f(x,g(x))=0
が成立する。
[竹之内脩]
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…例えばm=2のとき,実数tの関数の組,は,定義域が実数の全体,値域が二次元空間,すなわち平面の中の集合(この場合は単位円周:x2+y2=1)である関数を与える。
[陰関数,陽関数]
2変数の関数F(x,y)が与えられていて,F(x,y)=0という関係によってyがxの関数として定まるとき,それを陰関数という。これに対し,上記のようにy=f(x)の形に表される関数を陽関数という。…
※「陰関数」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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