日本大百科全書(ニッポニカ) 「隣保館」の意味・わかりやすい解説
隣保館
りんぽかん
社会福祉施設の一つ。「隣保館は、地域社会全体の中で福祉の向上や人権啓発の住民交流の拠点となる開かれたコミュニティーセンターとして、生活上の各種相談事業や人権課題の解決のための各種事業を総合的に行うものとする」と「隣保館設置運営要綱」(厚生労働省発社援第0829002号平成14年8月29日)に規定されており、現在は、同和事業の一環として設置されているものが主である。社会福祉事業法(昭和26年法律第45号、2000年改正により社会福祉法と改称)の第二種社会福祉事業の一つに隣保事業が位置づけられており、「無料又は低額な料金でこれを利用させることその他その近隣地域における住民の生活の改善及び向上を図るための各種の事業」(同法第2条第3項第11号)と規定されている。
隣保館は、セツルメント運動に始まり、1884年設立のイギリスのトインビー・ホールToynbee Hallが最初。日本には1890年代に移入され、関東大震災(1923)後に普及した。2014年度(平成26)の実績で、1085か所に設けられている(平成26年社会福祉施設等調査)。
[横山和彦・岩永理恵 2016年7月19日]