日本大百科全書(ニッポニカ) 「コミュニティ・センター」の意味・わかりやすい解説
コミュニティ・センター
こみゅにてぃせんたー
community center
地域社会の社会文化活動の中心となる各種公共施設の集合をいう。集会所、図書館、小学校、体育施設、児童公園などで構成される。起源は1910年代のアメリカで活発になったコミュニティ・センター運動にさかのぼる。このときは公共学校校舎をセンターにあてて地域住民の政治的啓蒙(けいもう)と相互交流が図られており、それにより民主主義の再建の道を開くと予想されていた。この影響を受けたペリーClarence Arthur Perry(1872―1944)は、のちに近隣住区neighborhood unit計画を作成し、そのなかで図書館、コミュニティ・ビルディング、教会、公園よりなるコミュニティ・センターを住区中心部に設定している。彼は、それが住民の相互交流を可能とし、さらに住区統一のシンボルにもなることから、緊密な近隣関係や住区との一体感が醸成されることを期待したのであった。現在でも評価されている構想であるが、センターという物的条件の整備だけが期待される効果を生むか否かは断定の限りでない。
[中村八朗]