日本大百科全書(ニッポニカ) 「集積層」の意味・わかりやすい解説
集積層
しゅうせきそう
illuvial horizon
土壌断面内で溶脱層(位)と対比的に識別される層位の一つ。集積層位ともいう。土層中を移動する水によって可溶性成分が分解され、通常は表層から下層に移動したカルシウム、マグネシウムの炭酸塩や硫酸塩が下層に沈殿して集積層(位)を形成する。強酸性の有機酸が生成される寒帯・冷帯林の表層からは、鉄、アルミニウム分が溶解し、反応が中性に近づく下層で集積をおこす。腐植も微粒状の粘土とともに機械的に流下して、集積層形成の因となる。炭酸カルシウムの集積層はチェルノゼムや栗色(くりいろ)土のA層下部にみられ、腐植と鉄、アルミニウムの集積層はポドゾルのB1層とB2層をなす。褐色森林土は鉄分の集積層によって褐色を呈するB層をもつ。赤黄色土やラトソルの集積層は、薄いA層の下に厚く発達し、鉄、アルミニウムの酸化集積物からなる赤みの強いB層をなしている。これらの特徴的な集積層を認めがたい土壌は、一般に生成段階の初期にある未熟土とされる。
[浅海重夫・渡邊眞紀子]