離る(読み)カル

デジタル大辞泉 「離る」の意味・読み・例文・類語

か・る【離る】

[動ラ下二]《「枯れる」と同語源》
空間的に遠くなる。はなれる。
「朝にに見まく欲りするその玉をいかにせばかも手ゆ―・れずあらむ」〈・四〇三〉
時間的に遠くなる。間遠になる。
「玉にあふちを家に植ゑたらば山ほととぎす―・れず来むかも」〈・三九一〇〉
心がはなれて、疎遠になる。
相思はで―・れぬる人をとどめかね」〈伊勢・二四〉

はな・る【離る】

[動ラ四]離れる」に同じ。
大君命恐かしこうつくしけ真子が手―・り島伝ひ行く」〈・四四一四〉
[動ラ下二]はな(離)れる」の文語形

さか・る【離る】

[動ラ四]離れる。隔たる。遠ざかる。
「いや遠に里は―・りぬ」〈・一三一〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「離る」の意味・読み・例文・類語

か・る【離】

  1. 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙 空間的、時間的、心理的に対象との間隔が大きくなる。離れる。かゆ。
  2. 空間的に遠くなる。離れる。
    1. [初出の実例]「朝に日(け)に見まく欲りするその玉をいかにせばかも手ゆ離(かれ)ずあらむ」(出典万葉集(8C後)三・四〇三)
  3. 時間的、心理的に遠くなる。間遠になる。また、関係が絶える。
    1. [初出の実例]「珠に貫く楝(あふち)を家に植ゑたらば山霍公鳥(ほととぎす)可礼(カレ)ず来むかも」(出典:万葉集(8C後)一七・三九一〇)

はな・る【離・放】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙はなれる(離)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙はなれる(離)
    1. [初出の実例]「大君の命(みこと)畏み愛(うつく)しけ真子が手波奈利(ハナリ)島伝ひ行く」(出典:万葉集(8C後)二〇・四四一四)

離るの補助注記

[ 二 ]用例から、下二段活用より古い活用とも、上代東国方言ともいわれる。


さか・る【離・放】

  1. 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙 離れる。へだたる。間遠くなる。遠ざかる。
    1. [初出の実例]「奥疎神 奥を訓みておきと云ふ。〈略〉疎を訓みて奢加留(ザカル)と云ふ」(出典:古事記(712)上)
    2. 「大和をも 遠く左可里(サカリ)て」(出典:万葉集(8C後)一五・三六八八)

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