日本大百科全書(ニッポニカ) 「雨引観音」の意味・わかりやすい解説
雨引観音
あまびきかんのん
茨城県桜川(さくらがわ)市本木(もとぎ)にある雨引山楽法寺(らくほうじ)の通称。真言宗豊山(ぶざん)派に属する。坂東(ばんどう)三十三所第24番霊場。用明(ようめい)天皇(在位585~587)のころ、中国・梁(りょう)の法輪独守居士が来日して創立、天皇の病気平癒祈願の寺と伝えられる。光明(こうみょう)皇后は安産祈願のため『法華経(ほけきょう)』を書写奉納したといい、現在でも皇后に安産の御守りを奉呈している。また、最澄(さいちょう)と論争を行った法相(ほっそう)宗の徳一(とくいつ)が大同(だいどう)年間(806~810)に創立したとも伝える。足利(あしかが)氏の帰依(きえ)厚く、江戸時代には朱印150石を領した。木造観世音菩薩(ぼさつ)像および前立観音像は国の重要文化財。4月のマダラ鬼神祭は関東の奇祭として有名。
[田村晃祐]