雨皮(読み)アマカワ

デジタル大辞泉 「雨皮」の意味・読み・例文・類語

あま‐かわ〔‐かは〕【雨皮】

《「あまがわ」とも》
牛車ぎっしゃ輿こしなどの雨覆い。表は練り絹で油をひき、裏は生絹すずし公卿以上に用いた。
桐油とうゆをひいた厚紙で作った雨具山伏などが着用した。

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精選版 日本国語大辞典 「雨皮」の意味・読み・例文・類語

あま‐かわ‥かは【雨皮】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「あまがわ」とも )
  2. 中古雨天の際、輦(れん)牛車(ぎっしゃ)、輿(こし)などをおおったもの。生絹または厚紙に油を塗って作る。
    1. [初出の実例]「雨皮 公卿以上車張之」(出典:西宮記(969頃)一七)
  3. 桐油を引いた厚紙で作ったカッパ。山伏などが着用した。油単(ゆたん)
    1. [初出の実例]「笈(おひ)の上には、雨皮肩箱とり付けて」(出典謡曲安宅(1516頃))

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世界大百科事典(旧版)内の雨皮の言及

【雨具】より

…水を吸うと膨張し,乾燥すると縮む植物の性質を利用した蓑や笠は,雨具が洋装化する今日まで農山漁村での労働,外出に着用された。また白絹に油を引いた雨衣(あまぎぬ)は,中世の貴族たちが装束の上から着け,修験者は油紙製の雨皮(あまかわ)を用いた。雨皮は油単(ゆたん)とも呼ばれ,牛車や輿にも掛けられた。…

【牛車】より

…装飾が華美に過ぎたり身分の下の者が乗用したりすることがあったので,しばしば過差禁止の対象となり禁令が出された。車の構造は,屋形,輞(おおわ),輻(や),轂(こしき),轅(ながえ),軛(くびき),軸(よこがみ),転(とこしばり),軾(としきみ)などの各部分でなりたち,雨天のときは生絹を浅黄に染めて油をひいた雨皮(あまがわ)をかけるが,これは三位以上のみに許された。牛車の中で最上格は唐庇車(からびさしのくるま)で,太上天皇,皇后,東宮,准后,親王,摂政,関白等が晴のときに用い,以下雨眉車(あままゆのくるま),檳榔毛車(びろうげのくるま),半蔀車(はじとみのくるま),網代庇車(あじろびさしのくるま),網代車等が続く。…

※「雨皮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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