桐油(読み)トウユ

デジタル大辞泉 「桐油」の意味・読み・例文・類語

とう‐ゆ【×桐油】

アブラギリ種子から得られる赤黄色の油。乾燥が速く、耐水性がある。日本では古くから桐油紙番傘などに使用。きりあぶら。
桐油がみ」「桐油ガッパ」の略。

きり‐あぶら【×桐油】

とうゆ(桐油)1

きり‐ゆ【×桐油】

とうゆ(桐油)1

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精選版 日本国語大辞典 「桐油」の意味・読み・例文・類語

とう‐ゆ【桐油】

  1. 〘 名詞 〙
  2. きりあぶら(桐油)温故知新書(1484)〕 〔明一統志
  3. とうゆがみ(桐油紙)」の略。
    1. [初出の実例]「桐油(トウユ)に包みし廻文状を」(出典:歌舞伎・東海道四谷怪談(1825)三幕)
  4. とうゆガッパ(桐油合羽)」の略。
    1. [初出の実例]「月の雪桐油は有や坂の駕籠〈許六〉」(出典:俳諧・五老文集(1693か))

と‐ゆ【桐油】

  1. 〘 名詞 〙
  2. とうゆ(桐油)」の変化した語。

▼とゆの実《 季語・秋 》

  1. [初出の実例]「桐油(トユ)の実」(出典:俳諧・誹諧通俗志(1716)時令)
  2. とうゆがみ(桐油紙)」または「とうゆガッパ(桐油合羽)」の略。
    1. [初出の実例]「又一しきり降る雨に〈略〉ヤレお客様乗物にお召なされ、桐油(トユ)合羽と取繕ひ」(出典:浄瑠璃車還合戦桜(1733)四)

きり‐あぶら【桐油】

  1. 〘 名詞 〙 乾性油の一つ。日本産のものはアブラギリの種子からとったもので、黄色または橙(だいだい)色の液体。傘、油紙など防湿に用いられる。中国産のものはシナアブラギリの種子からとったもので、黄色または黄褐色の液体。塗料薬用リノリウムなどに用いられる。とうゆ。きりゆ。

きり‐ゆ【桐油】

  1. 〘 名詞 〙きりあぶら(桐油)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「桐油」の意味・わかりやすい解説

桐油(きりゆ)
きりゆ
tung oil

アブラギリなどの種子から圧搾法により得られる乾性油。桐油(とうゆ)ともいう。核の含油量は50~60%である。ヨウ素価140~180。中国桐油は、他国産に比し品質がよい。エレオステアリン酸(共役トリエン酸であり、3個の二重結合が隣り合って存在する)を主成分として含む。酸化重合しやすく乾燥性はきわめて速やかであり、乾燥膜に小皺(こじわ)を生ずる。酸化重合度は大であり、乾燥膜の耐水性や硬度は他の塗料油より高い。あまに油と混合あるいはスタンド油処理などを行えば小皺を生じない。毒物を含むので食用とはならず、ワニスなどに用いる。

[福住一雄]


桐油(とうゆ)
とうゆ

桐油

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普及版 字通 「桐油」の読み・字形・画数・意味

【桐油】どうゆ

桐の油。

字通「桐」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内の桐油の言及

【キリ油(桐油)】より

…〈とうゆ〉ともいう。アブラギリ属植物の種子核油。実際の採油には,ニホンアブラギリ(生産地は北陸,山陰,南関東),シナアブラギリ(中国),カントンアブラギリ(中国南部)の3種が用いられる。搾油は,まず成熟果実を発酵,粉砕して種子を分離し,乾燥後温圧法によって行われる。通常2番しぼりまで行い,種子180lから約3~3.3lの油が得られる。代表的な乾性油で,主成分はα‐エレオステアリン酸(80%),およびオレイン酸(15%)のグリセリドであり,そのほか少量のパルミチン酸およびステアリン酸グリセリドを含有する。…

※「桐油」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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