改訂新版 世界大百科事典 「雲根志」の意味・わかりやすい解説
雲根志 (うんこんし)
木内石亭(1724-1808)の著した石に関する博物誌。前編,後編,および三編があり,それぞれ1773年(安永2),79年,1801年(享和1)に大坂で出版され,その後版を重ねた。鉱物,岩石,化石のほか,石器などが図示され,性状,産地,成因などが記されている。石亭は現在の滋賀県草津市の人で,名は重暁。博物学のうち,とくに石について興味をもち,多くのものを収集した。当時の知識人との交流も深く,日本各地のものを集めることができた。彼自身は趣味的な弄石家(ろうせきか)の色彩が強いが,《雲根志》は江戸時代後期の博物学のうち,岩石,鉱物,化石についての知識の水準を示す重要な著作である。
執筆者:清水 大吉郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報