日本大百科全書(ニッポニカ) 「電気設備技術基準」の意味・わかりやすい解説
電気設備技術基準
でんきせつびぎじゅつきじゅん
電気事業法に基づいて制定されている電気設備に関する技術基準のこと。通商産業省(現、経済産業省)の省令として公布されている。正式名称は「電気設備に関する技術基準を定める省令」(平成9年通商産業省令第52号)。規制の内容は、(1)電気工作物は、人体に危険を及ぼさないように、または物件に損傷を与えないようにすること、(2)電気工作物は、他の電気的設備その他の物件の機能に、電気的または磁気的な障害を与えないようにすること、(3)電気工作物の損壊により、電気の供給に著しい支障を及ぼさないようにすること、となっている。技術基準の性格は、電気設備を計画、施工する場合の最低限度として、一般に守られなければならない事項につき技術的に詳述され、行政官庁における工事計画認可申請書、工事計画届出書、および使用前検査における審査の基準となっている。また電気工事士は、施工にあたり、技術基準に適合する工事を行うことが義務づけられている。この省令は1965年(昭和40)に制定されたのが最初であるが、電気技術、電気材料などの進歩と社会状勢の変化に対応し、1997年(平成9)に全面改正され、その後も絶えず見直しと改正が続けられている。なおこの基準は、古くは電気工作物規程といわれていた。
[越野一二・市川紀充]