日本大百科全書(ニッポニカ) 「電話線路」の意味・わかりやすい解説
電話線路
でんわせんろ
電話の通話や制御の信号を伝送する線条。銅線2本を1組としており、それを1対(ペア)の線路という。銅線の径は0.32~0.9ミリメートルであり、ポリエチレンで絶縁され、それら多数の対(ペア)が束ねられたケーブルとして電柱上に敷設されたり、地下に埋設されたりする。
電話線路はその設置場所により陸上線路と海底線路に分類され、陸上線路はさらに架空線路と地下線路に分類される。架空線路はケーブルなどのほか、これをつり下げるつり線(鉄線)、電柱、電柱を支持する支線(鉄線)などにより構成される。一方地下線路は、ケーブルと、これを収容し保護する土木設備により構成される。この収容形式は、マンホールや管による管路式、トンネル形式の洞道(とうどう)式、およびケーブルを直接地中に埋める直埋(じかまい)式に分類される。架空線路は地下線路に比べて数分の1の経費で創設できるので経済的であるが、対数の増加に対処するのに限界があり、信頼性も地下線路に比べて劣る。また、都市の美観のうえからも地下線路への移行が望まれている。
電話線路はその用途により市内線路と市外線路に分類される。電話局と各加入者を結ぶ加入者線路や市内の電話局を結ぶ中継線路を市内線路とよぶ。市外線路は、市外の電話交換機間を結ぶ回線用として用いられるものであるが、現在ではこの回線は銅線のケーブルではなく光ファイバーケーブルや無線通信による伝送路で構成されている。
[坪井 了・三木哲也]