改訂新版 世界大百科事典 「震檀学会」の意味・わかりやすい解説
震檀学会 (しんたんがっかい)
植民地下の朝鮮で1934年5月に設立された研究会。李丙燾ら歴史学者を中心に,金台俊,崔鉉培,孫晋泰ら文学者,語学者,民俗学者も加わり,国学=朝鮮学研究の発展を目指した,朝鮮人自身による初めての組織である。史学史的には,植民地期の歴史研究の三大潮流,すなわち民族史学,実証史学,社会経済史学のうち,前2者に属する人たちが合流した組織であること,のちに朝鮮民主主義人民共和国の歴史学界において指導的地位を占めることになる金錫亨,朴時亨も,学界へのデビューはこの学会を通じてであったことなど,その幅広い研究者の連合戦線的な性格が注目される。機関誌として季刊の《震檀学報》を発刊したが,弾圧により14号で中断された。解放後再び活動を始めたが,朝鮮戦争による再度の中断を経て,戦後は韓国に引き継がれ,《韓国史》全7巻(1963)の出版などを経て今日に至っている。
執筆者:宮嶋 博史
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報