青苗簿(読み)せいびょうぼ

改訂新版 世界大百科事典 「青苗簿」の意味・わかりやすい解説

青苗簿 (せいびょうぼ)

日本古代の律令制下において戸別の口分田,賃租田などの作付け,耕営の実態を把握するために国ごとに作成された帳簿。717年(養老1)5月に大計帳輸租帳などの諸帳簿とともに記載様式が政府から諸国に頒布された。各戸主からの申告書をもとに作成され,大帳使が8月末までに政府に提出することになっていた。輸租田・損田などの関係帳簿と照合して,田租徴収をより確実なものとし,自然災害等による課役減免の際の不正を防ぐ意図などがあったとみられる。青苗簿の実例は現存しないが,当初の形からやや変化した記載様式が《延喜式》にみえ,概要は知ることができる。記載項目は輸租帳とかなり共通するが,郷単位に戸別の口分田,賃租田等がそれぞれの所在地を示す里,坪とともに詳細に記されている部分が特徴的である。作成が大変繁雑なこともあって,どの程度実施されていたか疑問である。平安時代になって政府は長い間作成されていなかった青苗簿の作成を再三指示したがほとんど効果はなかったようである。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

山川 日本史小辞典 改訂新版 「青苗簿」の解説

青苗簿
せいびょうぼ

その年の田の耕作状況を報告するため,国司が大帳使(だいちょうし)に付して中央政府に提出した帳簿。日本の律令田制では田租は耕作者が納入することになっており,帳簿には賃租関係も記されていたから,田租の収納や災害時の免税措置に活用された。717年(養老元)に統一的な書式が整ったが,9世紀になると衰退し,災害の年のみの提出となっていった。延喜主税式にその書式の詳細がある。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

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