田租を国家に納める田地。令の規定によると,田租は1段あたり2束2把(不成斤)である。706年(慶雲3)格で1束5把(成斤)に改めたが,度量衡の違いなので実質的には同じである。稲の収穫期に応じて,9~11月に国衙に納入する。国衙では永年の備蓄にあてがわれた。律令制時代の田地は,田租を納める輸租田と,納めない不輸租田,そして地子を納める輸地子田(乗田,無主田,収公田など)の3種類に区分できる。輸租田,不輸租田の区別は時期によって少し異なるが,口分田,位田,功田,賜田,郡司職田,国造田と墾田が輸租田,職田,公廨(くがい)田,駅田(駅起田),官田(屯田)と寺田,神田(大宝令の注釈書の古記は輸租田とするが,田租は本主の寺社に納める)が不輸租田である。しかし10世紀に入ると,太政官符と民部省符によって荘田の田租が不輸租と認められた荘園(官省符荘という)が増加するようになる。
→不輸不入
執筆者:吉村 武彦
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律令(りつりょう)制下で田租の納入を課せられた水田。律令制下の各種水田は、その田地への課税の有無によって、輸租田(田租を納める田)、不輸租・輸地子(ゆじし)田(田租のかわりに地子を納める田。乗田(じょうでん)など)、不輸租田(田租を納めない田。官田、神田、寺田など)の三種類に分類された。
輸租田とされたのは口分田(くぶんでん)、位田(いでん)、功田、賜田、墾田、郡司職田(ぐんじしきでん)(職分田)などである(田租率は上田で収穫の約3%)。律令国家においては、田租はすべて国家に帰属するという意識が存在していたが、そのうえで輸租・不輸租の別を設けたことについては、田租が国家(現実には地方統治機関としての国衙(こくが))の一般財政のなかに繰り入れられる場合、その田種を輸租田、田租・地子などが国家の特定の使途に供せられる場合、その田種を不輸租田とした、という推定がなされている。
[村山光一]
律令制下,田租の国衙への納入を規定された田。その田種は,口分田(くぶんでん)・位田・功田・賜田・墾田・郡司職田・見任(げんにん)国造田であり,時代によっては采女田(うねめでん)・職分田も輸租田となることがある。延喜主税式では,不輸租田・輸地子田(ゆじしでん)以外はすべて輸租田とした。これらの多くは受田者自身の個別用途に供せられる私田であることから,一般にその田租が免じられることはなかった。
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