大帳使(読み)だいちょうし

精選版 日本国語大辞典 「大帳使」の意味・読み・例文・類語

だいちょう‐しダイチャウ‥【大帳使】

  1. 〘 名詞 〙 令制における、四度使(しどのつかい)一つで、国内課口の数を記した大帳計帳大計帳)を持って、毎年京に上る使者。国の史生などがこの任にあたる。
    1. [初出の実例]「正八位上守近衛員外将曹兼行員外少目榎井朝臣〈大帳使〉」(出典:東南院文書‐天平神護二年(766)一〇月二一日・越前国司解)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大帳使」の意味・わかりやすい解説

大帳使
だいちょうし

律令(りつりょう)時代、地方政治の実態中央政府に報告するため上京した四度使(よどのつかい)の一つ。計帳使ともよばれる。毎年8月30日以前(陸奥(むつ)・出羽(でわ)両国大宰府(だざいふ)は9月30日以前)に上京して、大(計)帳とその関連公文(くもん)(枝文(えだふみ))を中央政府に提出して監査を受ける。

[福岡猛志]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大帳使」の意味・わかりやすい解説

大帳使
だいちょうし

大計帳使ともいう。大計帳と,そのもとになった各戸からの申告書 (手実) ,および廃疾帳,死亡帳その他の付随的な帳簿を,全国から8月 30日 (陸奥,出羽,大宰府は9月 30日) 以前に太政官へ送り届ける使い。正税使貢調使朝集使合せ四度使 (よどのつかい) と呼ばれる。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「大帳使」の解説

大帳使
だいちょうし

計帳使とも。四度使(よどのつかい)の一つ。諸国でまとめられた大帳(大計帳)を毎年8月末(「延喜式」では陸奥・出羽両国と大宰府管内は9月末)以前に太政官に提出するため,国司官人の使者が持参して上京した。これが大帳使で,大帳とその枝文(えだぶみ)を京進して主計寮で勘会(かんかい)が行われた。勘会がすめば返抄をうけとって帰国が許される。9世紀には大帳使の持参する公文(くもん)が朝集使に付されるなど簡略化が行われたこともあった。

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世界大百科事典(旧版)内の大帳使の言及

【計帳】より

…この大帳について一般には単に目録のみを指すものとされるが,〈大帳内目録〉という用語例があり,おそらく目録に歴名をも付属させていたものであろう。この大帳を上進する京国の官人が大帳使であり,それはまた本来的に計帳使とも呼ばれた。この計帳制度も律令体制の弛緩にともない,9世紀を通じてしだいに衰退していった。…

【青苗簿】より

…717年(養老1)5月に大計帳,輸租帳などの諸帳簿とともに記載様式が政府から諸国に頒布された。各戸主からの申告書をもとに作成され,大帳使が8月末までに政府に提出することになっていた。輸租田・損田などの関係帳簿と照合して,田租の徴収をより確実なものとし,自然災害等による課役減免の際の不正を防ぐ意図などがあったとみられる。…

【四度使】より

…(1)日本古代の律令制のもとで,国衙(こくが)の政務などを報告するため,毎年定期に上京する4種の使者。朝集使(ちようしゆうし),大帳使(だいちようし)(計帳使とも),貢調使(こうちようし),正税帳使(しようぜいちようし)をさす。いずれも国司がその任にあたるが,朝集使のみ四等官にかぎられ,他は史生(ししよう)などの雑任(ぞうにん)でもよかった。…

※「大帳使」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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