非核地帯構想(読み)ひかくちたいこうそう(英語表記)idea of nuclear weapon-free zones

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「非核地帯構想」の意味・わかりやすい解説

非核地帯構想
ひかくちたいこうそう
idea of nuclear weapon-free zones

ある地域からの核兵器排除を目的とした構想,またはそれを実現した地域。 1950年代後半にポーランドが中欧非核地帯化構想 (ラパツキ案) を提案して以来,これまでさまざまな地域について非核地帯構想が提案されている。その内容は千差万別だが,おもに共通することは,非核地帯内における核兵器の製造,取得,貯蔵配備などを禁止するとともに,核兵器国が非核地域内に核兵器による攻撃,威嚇をしないことを約束することである。これまで非核地帯を設定している国際条約には,居住地域に関してラテンアメリカ核兵器禁止条約 (通称トラテロルコ条約,1968年発効) ,南太平洋非核地帯条約 (通称ラロトンガ条約,86年発効) ,非居住地域に関して南極条約 (61年発効) ,宇宙天体条約 (67年発効) ,海底核兵器設置禁止条約 (72年発効) ,月協定 (84年発効) がある。また構想の段階にあるものとして,国連総会採択されたものに中東,南アジア,アフリカの各非核地帯があり,国連の枠外でのおもな構想にバルカン非核地帯 (57年にルーマニアが提案) ,北欧非核地帯 (63年にフィンランドが提案) ,中欧非核地帯 (82年にスウェーデンが提案) ,東南アジア非核地帯 (71年に東南アジア諸国連合 ASEAN臨時外相会議が「東南アジア平和・自由・中立地帯構想」を採択) ,朝鮮半島非核地帯 (北朝鮮主張) がある。

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