音声タイプライター(読み)おんせいたいぷらいたー

日本大百科全書(ニッポニカ) 「音声タイプライター」の意味・わかりやすい解説

音声タイプライター
おんせいたいぷらいたー

人間の話すことばがそのまま文字となって印字されることを願望して考えられた機械。現在まだ実現されていないが、将来オフィスオートメーションの中核となる日本語ワードプロセッサーの入力手段としての期待が大きく、研究開発が続けられている。いちばん早く実現されると思われるのは、日本語の単音節(仮名文字一字に対応する音)を一音一音くぎって発声したものを認識し、その結果を仮名漢字変換と結び付けるものである。連続的に発声された任意の日本語音声を認識する研究も続けられており、一部実用化の見通しもつきつつある。音声による質問回答形式のやりとりを繰り返すことによって、ある限定された目的(タスク)に対しては、音声によってかなり自由に情報を入力できる形の研究が盛んであり、これを音声理解システムとよんでいる。たとえば、航空機列車の座席予約や情報案内などがその典型として試みられている。音声タイプライターの実現は音声情報処理研究の一つの夢ということができる。

[中田和男]

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百科事典マイペディア 「音声タイプライター」の意味・わかりやすい解説

音声タイプライター【おんせいタイプライター】

音声を聞き取って文字を打ち出す機械。一種の言語オートマトン。連続的で複雑なアナログ量の音声の波を判別してデジタル量に変換することが中心になる。判別は入力信号の音波をいくつかのシンボル(日本語では100単音節)と比較して行う。音響学的な分析方法としては,ソナグラフ原理に似た周波数分析ゼロ交差波分析,フォルマントなどを手がかりとして音圧波形の対応する特徴から音節を区分する方法などが用いられる。
→関連項目パターン認識

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世界大百科事典(旧版)内の音声タイプライターの言及

【音声認識】より

…しかし/san/(3)と/nana/(7)の/a/,/n/にみられるように,個々の音素の音響特性には種々の変形が生ずるので,標準パターンに用いる音素の数を増やす必要がある。一般に個々の音素の音響特性はさまざまに変形するので,音声波を分析しながら直ちに文字記号に変換する形式の,いわゆる音声タイプライターでは認識誤りが多い。そのため構文,意味などに関する豊富な言語的知識を用いて,音響分析のみによる認識誤りを訂正する機能をもつ機械が研究されている。…

※「音声タイプライター」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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