家庭医学館 「顎骨腫瘍」の解説
がくこつしゅよう【顎骨腫瘍 Tumor of the Jaw】
あごの骨の中に、かたい腫瘍(腫(は)れもの)ができる病気です。
歯をつくる組織から増殖するものと、歯に原因がなくておこるものとがありますが、ほとんどが良性の腫瘍です。
◎歯に原因のある腫瘍
■エナメル上皮腫(じょうひしゅ)
歯が発生するときの組織が変化して、腫瘍となったものです。
この腫瘍は、しばしば再発するだけでなく、まれに悪性化することがあるので、準悪性腫瘍として取り扱われています。
■歯芽腫(しがしゅ)
歯が形成されるときに、正常な歯にならず、かたまり状になったものです。
[症状]
痛まずに、ゆるやかに発育します。
腫瘍の増大にともなって、あごが大きく腫れたり、歯が動揺してきたり、歯ならびが悪くなったりすることがあります。
X線検査が診断の決め手となります。
[治療]
手術で腫瘍を摘出します。エナメル上皮腫の場合には、ときに、あごの骨を切除することがあります。
また、エナメル上皮腫は、悪性化や再発することがあるので、手術後の定期的な検診が必要です。
◎歯に関係のない腫瘍
線維腫(せんいしゅ)、線維性骨異形成症(せんいせいこついけいせいしょう)、骨腫(こつしゅ)、血管腫(けっかんしゅ)、軟骨腫(なんこつしゅ)などがあります。
[症状]
ゆるやかに発育し、あごの骨が腫れてきます。
腫瘍の増大にともなって、歯の動揺やかみ合わせの異常(咬合(こうごう)異常)がおこることがあります。
血管腫では、ときに歯ぐきからの出血がおこり、悪性腫瘍とまぎらわしい症状になることがあります。
X線検査が診断の決め手となります。
治療は、手術をして、腫瘍を摘出します。