改訂新版 世界大百科事典 「飛驒川」の意味・わかりやすい解説
飛驒川 (ひだがわ)
岐阜県の南飛驒地方を南流する木曾川の支流。流路延長148km,全流域面積2165km2。乗鞍岳の南麓,高山市の旧高根村に源を発し,布川,秋神川を合わせて西に流れ,同市の旧久々野町で方向を南に変え,下呂(げろ)市の旧小坂町で小坂川,同市の旧下呂町で竹原川,同市の旧金山町で馬瀬(まぜ)川,加茂郡白川町で白川,同郡七宗(ひちそう)町で神淵(かぶち)川などを合わせ,美濃加茂市古井(こび)町で木曾川に合流する。上流から旧金山町までをかつては益田川と呼んだ。深い山地の間を流れるため中山七里,飛水峡などの峡谷が連続し,その間のわずかな平地に集落が発達,温泉の町下呂などがある。旧下呂町より下流は飛驒木曾川国定公園に含まれる。飛水峡は白川口から上麻生に至る約12kmの間をいい,川は秩父古生層の固い岩石を深く浸食して流れる。河床は赤,緑,白などの縞模様の岩で,天然記念物の大小無数の甌穴(おうけつ)がみられる。流域面積が広く,流量が豊富なため,かつては木材の流送に利用されたが,今は水力発電地帯であり,水系全体で21の発電所が開発され(1997),新旧,大小とりどりの発電所,ダムが連続する。高山本線,国道41号線が久々野~美濃加茂市間をこの川に並行して走る。
執筆者:高橋 百之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報