乗鞍岳(読み)ノリクラダケ

デジタル大辞泉 「乗鞍岳」の意味・読み・例文・類語

のりくら‐だけ【乗鞍岳】

岐阜・長野両県にまたがる飛騨山脈南部の火山。標高3026メートルのけんヶ峰を最高峰に、摩利支天岳・富士見岳恵比須岳などからなる。コロナ観測所宇宙線研究所などがある。

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精選版 日本国語大辞典 「乗鞍岳」の意味・読み・例文・類語

のりくら‐だけ【乗鞍岳】

  1. 長野県南西部、岐阜県との境にある火山群乗鞍火山帯の主峰で、最高峰剣ケ峰(三〇二六メートル)を南端に、摩利支天岳・富士見岳・恵比須岳・大丹生(おおにゅう)岳・十石岳がなだらかな火口丘をなして連続し、鞍のように見える。乗鞍コロナ観測所などがある。

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日本歴史地名大系 「乗鞍岳」の解説

乗鞍岳
のりくらだけ

飛騨山脈(北アルプス)に沿い、北からたて(三〇一五メートル)やけ(二四五五・四メートル)・乗鞍岳(三〇二六・三メートル)御嶽おんたけ(三〇六三・四メートル)と連なる乗鞍火山帯の主峰で、裾野は大野郡高根たかね村・朝日あさひ村・丹生川にゆうかわ村と吉城よしき上宝かみたから村、長野県南安曇みなみあずみ郡安曇村にまたがる。壮年期の山容の連なりの南端にそびえる御嶽山とともに、火山特有の雄姿は飛騨山脈の景観を引立てている。乗鞍岳は単一の火山ではなく、北から烏帽子えぼし火山帯・つるいけ火山帯と、乗鞍岳の主峰をなす権現池ごんげんいけ火山帯からなる複合成層火山である。権現池火口湖を囲む乗鞍本峰は最高峰のけんヶ峰や大日だいにち(三〇一三メートル)のほか朝日あさひ岳・薬師やくし岳・水分みくまり岳など、鶴ヶ池火山帯は摩利支天まりしてん(二八七三メートル)恵比須えびす(二八二三メートル)富士見ふじみ(二八四七メートル)など、烏帽子火山帯は烏帽子岳(二六六六メートル)大丹生おおにゆう(二六九八メートル)ッ岳(二七四四・六メートル)などからなっている。北端の鞍部は高度を下げて平湯ひらゆ(標高一六八四メートル)となる。


乗鞍岳
のりくらだけ

剣ヶ峰(三〇二六メートル)摩利支天まりしてん岳・富士見ふじみ岳・大丹生おおにゆうヶ岳の諸峰によってなる火山である。その裾野は広く、長野県側に大野川おおのがわ、岐阜県側に大野郡がある。岐阜県側からは最もよく見え、高山からその雄大な山姿を望むことができ、長野県側からは松本付近から遠望することができる。古くは大山おおやまとか御岳みたけとか即自的なよび方をしていたのではないかと思う。「三代実録」の貞観一五年(八七三)二月二八日条に「飛騨国司言、大野郡愛宝山、貞観十三年十一月十八日。十四年十一月十二日。今月十五日。三度紫雲見」とあるのは、瑞雲のたなびく霊山、乗鞍岳のことであり、古くは愛宝あぼう(母なる山の意か)といわれていた。平安時代の中頃以降はくらい山とよばれており、歌枕である。ただし、諸歌学書は「美濃」「飛騨」などとしている。この位山を詠んだ歌に、次のようなものがある。

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改訂新版 世界大百科事典 「乗鞍岳」の意味・わかりやすい解説

乗鞍岳 (のりくらだけ)

長野・岐阜県境北部,飛驒山脈の南端に位置する火山群。北から十石山,烏帽子(えぼし)岳,鶴ヶ池,摩利支天,一ノ池,高天原(たかまがはら)の六つの安山岩質火山が並び,それらの間に,最高峰である一ノ池火山火口壁の剣ヶ峰(3026m)をはじめ,四ッ岳(2745m),大丹生(おおにゆう)岳(2698m),恵比須岳(2831m),里見岳(2824m)など22の峰が連なり,比較的起伏の緩やかな山頂部を形成している。乗鞍岳の名称は,岐阜県側から見た山容がちょうど馬の背に鞍を置いた形に似ていることに由来するという。山頂部には亀ヶ池,不消(きえず)池,鶴ヶ池,権現池などの火口湖や,溶岩流による堰止湖である五ノ池,大丹生池などがある。これらの池畔には,亀甲砂礫や条線砂礫として知られる構造土がみられ,付近は日本屈指のハイマツの大群落地である。また,摩利支天山頂には東京天文台(現,国立天文台)の乗鞍コロナ観測所(1949完成),その南側に東京天文台(現,東京大学宇宙線研究所)の宇宙線観測所(1950完成)がある。鶴ヶ池畔の畳平(2740m)までは長野・岐阜両県からバス登山道路が通じ,畳平のバスターミナル付近には,乗鞍神社本宮遥拝所,電報電話局,郵便局,営林署,診療所,旅館,山小屋などの施設がある。

 長野県側山麓の乗鞍高原は標高1300~1800mの広大な高原で,1952年の乗鞍高原スキー場開設以来観光開発が進み,番所(ばんどこ)や鈴蘭小屋(1976年白骨(しらほね)温泉上流部からの引湯成功以後発展)付近に宿泊・保養施設が開かれて,四季の行楽客を集めている。また,山頂から東麓の位ヶ原(くらいがはら)にかけての雪渓では,夏スキーが楽しめる。岐阜県側の乗鞍スカイライン(1973完成。2002無料開放)は,平湯峠から畳平までの全長14.4km,高度差1060mの観光道路で,バス登山道路としては日本一の高さを誇る。車窓からの眺めは,高度が増すにつれて変化する植生と遠景の雄大な山並みとが対照的で,すばらしい山岳景観を楽しめる。なお2003年より乗鞍スカイラインと乗鞍エコーラインでマイカー規制が実施されている。
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百科事典マイペディア 「乗鞍岳」の意味・わかりやすい解説

乗鞍岳【のりくらだけ】

長野・岐阜県境,飛騨山脈の南部にある山。安山岩からなる複式成層火山で,最高峰の剣ヶ峰(3026m)のほか,十石(じっこく)岳,四ッ岳,大丹生(おおにゆう)岳,恵比須岳,富士見岳,摩利支天岳などの火口丘が南北に連なっており,火口湖も多い。平安期にみえる愛宝(あぼう)山とされ,また位(くらい)山として和歌に詠まれる。のち修験道(しゅげんどう)の行場となる。摩利支天岳山頂にコロナ観測所,その下に宇宙線観測所がある。岐阜側では平湯温泉から鶴ヶ池まで乗鞍スカイラインが,また長野県側では乗鞍高原から鶴ヶ池まで乗鞍エコーラインがそれぞれ通じている。両方とも自動車道路だが,環境保全のためマイカー規制が実施されており,麓でバス,またはタクシーに乗り換えることになる。中部山岳国立公園に属する。近年も時折山頂周辺で地震が頻発することがあり,活火山として気象庁が常時観測している。
→関連項目安房峠日本百名山野麦峠乗鞍火山帯飛騨川松本[市]

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「乗鞍岳」の意味・わかりやすい解説

乗鞍岳
のりくらだけ

長野・岐阜県境にある北アルプス南端の山。南北に連なる大丹生岳(おおにゅうがたけ)、烏帽子(えぼし)岳、恵比須(えびす)岳、富士見岳、最高峰の剣ヶ峰(けんがみね)(3026メートル)、摩利支天(まりしてん)岳などの総称で、全体としてはコニーデ型の成層火山である。山名は山容がなだらかで、馬の鞍に似ているところからつけられたとされる。山頂部には権現(ごんげん)池や鶴(つる)ヶ池などの火口湖と、五ノ池、亀(かめ)ヶ池などの火山堰止(せきとめ)湖がある。火山活動は大丹生岳に始まり順次南へ移り、剣ヶ峰をつくる一ノ池火山は7回もの溶岩を噴出している。岐阜県側からは平湯(ひらゆ)峠から乗鞍スカイラインが通じ、恵比須岳直下の畳平(たたみだいら)(2700メートル)に到達する。長野県側では、乗鞍高原から位ヶ原(くらいがはら)を経て畳平に至るエコーライン(県道84号)がある。ともにマイカー規制により一般車両は通行できない。摩利支天岳山頂には自然科学研究機構の乗鞍観測所などの学術施設がある。乗鞍岳は平安時代から山岳信仰の対象になり、山伏の修験(しゅげん)道場であった。乗鞍岳の別名を位山(くらいやま)というが、神の宿る岩座(いわくら)からきたものであろう。剣ヶ峰には長野県側に乗鞍権現、岐阜県側に御嶽神社が鎮座する。中央道松本インターチェンジから国道158号、県道84号で乗鞍高原へ約60分。乗鞍高原観光センターからシャトルバスで畳平まで約50分。

[小林寛義]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「乗鞍岳」の意味・わかりやすい解説

乗鞍岳
のりくらだけ

飛騨山脈に属し,長野県松本市と岐阜県高山市にまたがる火山活火山で,常時観測火山乗鞍火山帯の主峰。北から烏帽子岳,大丹生岳,恵比須岳,富士見岳をはじめとする諸火山の総称で,最高峰は剣ヶ峰(3026m)。山名はなだらかな火口丘が連続し鞍の形に似ていることに由来するといわれる。旧火口は権現池,亀ヶ池などの湖になっている。山頂付近に自然科学研究機構の観測所(国立天文台コロナ観測所から移管)と東京大学宇宙線研究所の観測所がある。東方には雄大な乗鞍高原が展開し,国民休暇村,ホテルなどがあり,位ヶ原では 7月にスキーができる。長野,岐阜両県側から標高 2700mの鶴ヶ池まで自動車道があり,東麓には温泉も多い。中部山岳国立公園に属する。

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事典 日本の地域遺産 「乗鞍岳」の解説

乗鞍岳

(岐阜県高山市;長野県松本市)
美しき日本―いちどは訪れたい日本の観光遺産」指定の地域遺産。

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事典・日本の観光資源 「乗鞍岳」の解説

乗鞍岳

(長野県・岐阜県)
日本百名山」指定の観光名所。

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