秋田県仙北(せんぼく)市角館(かくのだて)町の秋祭りの民俗芸能。9月の7、8、9の3日間、各町内から思い思いに装いを凝らした山車(だし)が出る。山車の上部を歌舞伎(かぶき)人形で飾り、下部を幕で覆って囃子方の下座(げざ)とする。囃子方は大太鼓、小太鼓、鼓、摺鉦(すりがね)、笛、三味線、歌い手など7、8人。山車の前方に張り出した部分をミジャ(水屋)といって、踊り子が3人ないし4人乗って、囃子のリズムにあわせて交互に踊る。山車の行進中は上り山(本調子)、下り山(三下り)、下り藤(ふじ)(三下り)が囃され、歌も踊りもつかない。山車が止まると、『秋田甚句(じんく)』『秋田おばこ』『長者の山』など民謡風の曲に変わり踊りがつく。拳(けん)ばやし、二本竹のように歌のないものもある。祭りは、「角館祭りのやま行事」として国の重要無形民俗文化財に指定され、山・鉾・屋台行事の名称でユネスコの無形文化遺産に登録。
[萩原秀三郎]
…これらの町がかつて雅楽曲を演奏していたかどうかは不明で,楽器は通町だけが笙(しよう)・篳篥(ひちりき)・羯鼓(かつこ)・大太鼓・鉦鼓などの雅楽器を使用し,他は笛・太鼓・鉦を中心とした一般的な祭囃子の楽器である。 主要楽器に三味線を加える例として秋田県仙北郡角館(かくのだて)町の神明社祭(9月7~9日)の飾山(おやま)囃子がある。飾山は,黒布で大きな山をつくり,芸題にかなった人形や建物を配して町内を巡行するもので,神社へ向かうときの囃子を〈上り山〉といい,《本調子》《大山囃子》《小山囃子》《六法》《拳囃子》などの曲を,神社から町内へ戻るときの囃子を〈下り山〉といい《道中》を奏する。…
※「飾山囃子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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