角館(読み)カクノダテ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「角館」の意味・わかりやすい解説

角館
かくのだて

秋田県東部,仙北市南部の旧町域。横手盆地北部,玉川と檜木内川の合流点に位置し,東は岩手県に接する。1889年町制。1955年中川村,雲沢村,白岩村の 3村と合体。2005年田沢湖町,西木村と合体して仙北市となった。戦国時代末期は蘆名氏の城下町,近世には佐竹氏北家の城下町として発展。今日でも武家屋敷,古い商家が残り,「秋田の小京都」と呼ばれる。武家町の東勝楽丁(ひがしかつらくちょう),表町上丁(おもてまちかみちょう),表町下丁は国の重要伝統的建造物群保存地区に指定。武家屋敷街のシダレザクラは国の天然記念物,檜木内川堤のサクラ並木は国の名勝に指定されている。木材,薪炭の集散地で,藩士内職から発展したといわれるサクラの皮を使った工芸品は特産。玉川の抱返り渓谷は景勝地で,田沢湖とともに,田沢湖抱返り県立自然公園に指定。9月に行なわれる角館祭りのやま行事(→角館のお祭り)は国の重要無形民俗文化財に指定されており,2016年に「山・鉾・屋台行事」の一つとして国際連合教育科学文化機関 UNESCO世界無形遺産に登録された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「角館」の意味・わかりやすい解説

角館
かくのだて

秋田県中央部、仙北郡にあった旧町名(角館町(まち))。現在は仙北市角館町で、市の南部を占める。旧角館町は、1889年(明治22)町制施行。1955年(昭和30)中川、白岩(しらいわ)、雲沢(くもさわ)の3村と合併。2005年(平成17)田沢湖町、西木村と合併して市制施行、仙北市となった。JR田沢湖線(秋田新幹線)、秋田内陸縦貫鉄道、国道46号、105号が通じる。横手盆地の北部、玉川と檜木内(ひのきない)川の合流点に位置する。中世は戸沢氏の所領であったが、1602年(慶長7)佐竹氏領となり、一族の蘆名義勝(あしなよしかつ)が配され、その後佐竹北家の所預(ところあずかり)となった。

 現在の町割は義勝の時代につくられ、旧藩時代の景観をよく残しており、表町、東勝楽(ひがしかつらく)町、裏町の区域は武家町として国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。農業は米作中心で、野菜栽培や畜産も行う。藩政時代に下級武士の内職であった樺細工(かばざいく)は、ヤマザクラの皮を利用する工芸品で、古くは印籠(いんろう)、文箱(ふばこ)、胴乱(どうらん)など、現在では茶筒、盆、ブローチなどをつくり、伝統的工芸品に指定され、年間売上げ額も大きい。シダレザクラ(国指定天然記念物)、檜木内川堤のソメイヨシノ(国指定名勝)がある。

[宮崎禮次郎]

『『角館誌』11巻・別巻(1965~1985・角館町)』


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百科事典マイペディア 「角館」の意味・わかりやすい解説

角館[町]【かくのだて】

秋田県東部,仙北郡の旧町。中心の角館は雄物(おもの)川の支流玉川に沿い,秋田新幹線(田沢湖線)が通じ,秋田内陸縦貫鉄道が分岐する。芦名氏,佐竹氏の城下町として発達,武家屋敷,古い商家が残り,秋田の小京都と呼ばれる。稲作,畜産,畑作のほか,木工業,製材業も行う。秋田県特産の桜の皮を用いた樺(かば)細工生産の中心地。玉川の上流に抱返(だきがえり)渓谷がある。2005年9月,仙北郡田沢湖町,西木村と合併し市制,仙北市となる。156.63km2。1万4600人(2003)。

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