馳駅(読み)ちえき

精選版 日本国語大辞典 「馳駅」の意味・読み・例文・類語

ち‐えき【馳駅】

〘名〙
令制で、国家緊急の場合、駅使を派遣して諸道に三〇里(現在の約一六キロメートル)ごとに設けられた駅とその駅馬を使って通信すること。急ぐ場合の行程は一日一〇駅以上とされた。→飛駅(ひえき)
令集解(701)選叙「古記云。問。馳駅遠近若為。答。畿外皆可馳駅」 〔新唐書‐刑法志〕
② 鎌倉時代、幕府の通信方法で、騎馬使者が急行して通信すること。特に、京都の六波羅探題との間に使われ、六波羅飛脚、六波羅馳駅といわれた。飛脚。
吾妻鏡‐元暦元年(1184)五月一五日「申剋伊勢国馳駅参著申云」
[補注]令制で駅制を使った通信を表わす語としては、「飛駅」と「馳駅」があり、同じことを意味する。ただ、「飛駅」が名詞として使われるのに対して、「馳駅」は「馳駅して」と、もっぱら動詞形で現われる。

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普及版 字通 「馳駅」の読み・字形・画数・意味

【馳駅】ちえき

駅伝。〔宋書、劉伝〕(めん)、常珍希に書を與へ、めて(りよ)に反せしむ。~、馳驛して以聞(いぶん)(上奏)す。太宗大いに喜び、珍希を以てと爲す。

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世界大百科事典(旧版)内の馳駅の言及

【飛駅】より

…奈良時代にはこのような飛駅が,北九州の大宰府から4~5日,東北の多賀城からでも7~8日で都に着いたことが知られるが,平安時代になると遅れはじめ,やがて律令国家の衰退とともに派遣しえなくなる。なお類義語の馳駅(ちやく∥ちえき)は飛駅を派遣するという意味の動詞。【青木 和夫】。…

【飛駅】より

…奈良時代にはこのような飛駅が,北九州の大宰府から4~5日,東北の多賀城からでも7~8日で都に着いたことが知られるが,平安時代になると遅れはじめ,やがて律令国家の衰退とともに派遣しえなくなる。なお類義語の馳駅(ちやく∥ちえき)は飛駅を派遣するという意味の動詞。【青木 和夫】。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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