突発的に起こった事象を原因として生じた身体-精神的な反応で,原始反応の一つでもある。地震,洪水,火事,交通事故など,予期せず急に起こった感動体験が原因となる。身体症状として,顔面蒼白,冷汗,動悸,息切れ,体の震え,脱力,大便・尿の失禁,不眠,食欲消失さらには身体運動の停止(昆虫などの擬死に似る)などがみられる。精神症状として,うろたえ,興奮(捕らえられた鳥などの運動乱発に似る),逆に精神運動の停止,無感動,無欲的となり茫然とした状態がみられる。驚愕反応は,突発的に身の危険を感じるような場合であれば,文化や個性の影響をあまり受けることなくすべての人に生じ,症状の出現には程度の差はあっても個人差はあまりない。経過は短く,多くの場合数週を出ないで症状は消える。集団的にこのような状態が生ずれば一種のパニック状態となる。驚愕反応に引き続いて心身症状が持続し固定したものを驚愕神経症という。
執筆者:永島 正紀+野上 芳美
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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