骨系統疾患(読み)こつけいとうしっかん(その他表記)Skeletal dysplasia

六訂版 家庭医学大全科 「骨系統疾患」の解説

骨系統疾患
こつけいとうしっかん
Skeletal dysplasia
(子どもの病気)

どんな病気か

 骨・軟骨をはじめとする骨格形成に関与する組織の障害により、骨格の異常を来す病気総称です。したがって、最も代表的な骨軟骨異形成症(こつなんこついけいせいしょう)だけでなく、骨の先天奇形である異骨症(いこつしょう)、奇形症候群、代謝疾患内分泌疾患染色体異常、などが骨系統疾患に含まれます。

骨系統疾患の診断

 従来、主にX線所見、身体所見、病歴、臨床検査所見により分類されてきました。しかし近年、骨系統疾患の原因遺伝子が次々と明らかになってきたことに伴い、国際分類法が2006年に改訂されました。

 骨系統疾患は、分類方法にもよりますが、およそ400種類ほどあるといわれています。そのうち、現在遺伝子診断が可能な疾患は150疾患ほどです。

症状の現れ方

 症状の多くは、低身長、骨格の変形、運動機能異常、骨折のしやすさなどです。とくに低身長は最も多く、小児科や整形外科を受診するきっかけになる症状です。低身長は、四肢と体幹の比から四肢短縮型、体幹短縮型、均衡型、の3つのタイプに分類し、診断に役立てます。

 疾患によっては皮膚、爪、毛髪神経、眼、歯などの合併症を伴うことが多いので、注意が必要です。

治療の方法

 疾患によって治療法は異なります。たとえば、軟骨無形成症では、成長ホルモン療法が行われます。また、外科的治療が必要になることがあります。

山中 良孝

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

家庭医学館 「骨系統疾患」の解説

こつけいとうしっかん【骨系統疾患】

 骨は、コラーゲンと呼ばれるたんぱく質に、カルシウムとリンを主体とする骨塩(こつえん)(石灰化物質(せっかいかぶっしつ))が沈着することによってつくられています。
 これらの骨が200個あまり集まって、からだ全体を支える骨格を形成しています。また骨は、カルシウムやリンの貯蔵庫にもなっています。
 骨は、骨芽細胞(こつがさいぼう)と呼ばれる細胞から直接つくられる場合と、軟骨細胞(なんこつさいぼう)が変化してつくられる場合があります。
 また、一度つくられた骨は、破骨細胞(はこつさいぼう)と呼ばれる細胞によってたえず壊されており、骨は常につくりかえられているのです。
 こうした骨の形成や維持には、骨や軟骨をつくるための材料や酵素(こうそ)、ホルモンなどが必要です。
 これらのしくみや材料などの供給が障害されておこる病気を、骨系統疾患と呼んでいます。
 骨系統疾患の症状としては、成長障害、骨格の変形、関節の障害、骨折などがあげられます。
 骨系統疾患には、いろいろな病気が含まれますが、遺伝する病気も多く、最近では、原因となる遺伝子が見つかったものもありますが、まだ原因のわからない病気もたくさんあります。
 非常に頻度の少ない病気ですので、整形外科などの専門医にかかり、適切な診断と治療を受ける必要があります。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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