高来郡家跡推定地(読み)たかくぐうけあとすいていち

日本歴史地名大系 「高来郡家跡推定地」の解説

高来郡家跡推定地
たかくぐうけあとすいていち

古代の高来郡に置かれた官衙の跡。発掘調査による遺構の検出などはなく、推定にとどまる。島原半島の北側、有明海に臨む国見町多比良たいらに比定する説があり、そこの高下こうげ郡家転訛であろうという。同所の六世紀末頃とされる高下古墳(鬼の岩屋)では豊富な副葬品から有力な勢力(のちの郡司層)が想定されている。また西手の倉地くらち川は正倉にかかわり、東の栗谷くりや川は厨家に関連するとされるほか、馬場ばば名の東に「うまつぎ」の地名があり、両川の間を流れる土黒ひじくろ川を下った河口部は船津ふなつ名となっており(郡津か)、これら一帯に官衙との関連を推定させる地名が少なくない。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報