鯨大師(読み)くじらだいし

日本歴史地名大系 「鯨大師」の解説

鯨大師
くじらだいし

[現在地名]宇和島市蛤

はまぐり地区の鯨谷に大師堂があり、鯨大師の名で知られる。ここは遍照山願成がんじよう寺の跡地で、嘉永四年(一八五一)の永代祈願録に、

<資料は省略されています>

とあるとおり、願成寺の縁起弘法大師の四国巡礼伝説と結合され、四国八十八ヵ所の番外札所となっていた。寛永八年(一六三一)渡海の不便により同寺は城下元結掛もとゆいぎに移されたが、あとに大師堂が残り、八十八ヵ所ゆかりの旧地として親しまれている。

文政一一年(一八二八)夏、大師堂が焼失、翌一二年蛤浦の源右衛門ほか二名が世話人再建に着手したが、成らなかった(御寄付牒)。嘉永四年、一行院誓海が大師堂再建を計画、毎年三月二一日に大師講を催すことなどを前掲の永代祈願録に記して、宇和島藩の上士層・宇和島城下町の商人・宇和郡一円の村浦から再建の資金を募っている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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