黒瀬(読み)くろせ

日本歴史地名大系 「黒瀬」の解説

黒瀬
くろせ

中世与良よら郡内にみえる地名。康永三年(一三四四)七月二〇日の少弐頼尚書下(与良郷宗家判物写、以下断りのない限り同判物写)に「黒瀬権大夫入道々教」が塩木を伐採して切開いた所々木場を甲乙人が押領すると申立てているとあり、宗右馬入道にその禁止と罪科に処すべきことを触れ回すよう命じている。嘉吉元年(一四四一)「しやう山」(金田城の築かれた城山)四方の木の伐採が先々の成敗の旨に任せて禁じられており(同年九月二六日宗貞盛書下)、これ以降も数次の「城山禁制が確認され(享徳二年八月六日某書下・文明八年一二月二一日宗貞国書下・永正元年一一月四日宗国親書下・大永六年一一月一〇日宗盛兼書下・永禄五年三月四日佐須盛円遵行状)宛名が「くろせ」「黒瀬」の平左衛門尉・左衛門三郎・平山彦次郎・平山かな法師丸・平山藤左衛門尉となっており、当地に平山氏が居住していた。


黒瀬
くろせ

[現在地名]富江町黒瀬郷

山手やまての南西に位置し、集落は海に臨む。近世は富江村の枝郷。寛文元年(一六六一)奈摩なま(現上五島町)の漁師が来住して漁業を行ったという。元禄年間(一六八八―一七〇四)には瀬戸内の者がきて捕鯨を行っており、また紀伊の藤新右衛門が元禄三年に登立とだてに鯨鯢成仏の供養碑を建立。享和元年(一八〇一)黒瀬浦の沖に呂宋船が漂着、大砲を撃つ構えを見せたので、長崎奉行に相談のうえ、武器を取上げて出航させることにしたが、富江家内では論議しながら決定が遅れるばかりであったらしい(長崎県史)


黒瀬
くろせ

[現在地名]築館町 黒瀬鹿島前・同黒瀬前・同黒瀬向など

近世とみ村の端郷で、二迫にのはさま川沿いに立地する。応永二五年(一四一八)九月四日の鶯沢諸郷先達職預ケ状(白鶯山文書)によれば、黒瀬の鹿島神社の大夫六郎に預けられていた黒瀬・上黒瀬・城生野じようのなど四郷の先達職の成敗権を木仏に与えている。「安永風土記」によれば、田六六貫六八四文・畑一三貫四九一文(茶畑一六八文)で、蔵入三三貫三三三文、ほかは給所。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「黒瀬」の意味・わかりやすい解説

黒瀬
くろせ

広島県南部、賀茂郡(かもぐん)にあった旧町名(黒瀬町(ちょう))。現在は東広島市(ひがしひろしまし)の一地区。旧黒瀬町は1954年(昭和29)上黒瀬、中黒瀬、下黒瀬、乃美尾(のみのお)の4村が合併して成立。2005年(平成17)東広島市に編入。国道375号が通じる。山地に囲まれた小盆地にあり、中央を黒瀬川が南流する。農業が主で、米作のほか野菜栽培、養鶏、肉用牛の飼育なども行われる。南西は呉(くれ)市に接し、ベッドタウンでもある。1984年に、広島中央テクノポリス(技術集積都市)の一部に指定されてから工場の進出が増加、黒瀬工業団地も造成されている。1998年広島国際大学が開学した。

[北川建次]

『『黒瀬町史』全2巻(2003、2004・黒瀬町)』

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百科事典マイペディア 「黒瀬」の意味・わかりやすい解説

黒瀬[町]【くろせ】

広島県南部,賀茂郡の旧町。主集落は黒瀬川中流域盆地にある。古くから米の生産が多く,マツタケを特産する。呉市の後背地的性格が強い。2005年2月賀茂郡福富町,豊栄町,河内町,豊田郡安芸津町と東広島市へ編入。63.84km2。2万4532人(2003)。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「黒瀬」の意味・わかりやすい解説

黒瀬
くろせ

広島県中南部,東広島市南西部の旧町域。 1954年上黒瀬村,中黒瀬村,下黒瀬村,乃美尾村の4村が合体して町制。 1955年板城村の一部を編入。 2005年東広島市に編入。かつて黒瀬川に沿う農村であったが,1984年広島中央テクノポリスに指定されてから工場や住宅が進出,変容が著しい。農家の大部分兼業農家で,農業では米作とブドウ栽培が主体。工業は一般機械,自動車部品の工場が多い。

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改訂新版 世界大百科事典 「黒瀬」の意味・わかりやすい解説

黒瀬 (くろせ)

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デジタル大辞泉プラス 「黒瀬」の解説

黒瀬

鹿児島県熊毛郡南種子町、種子島に属する無人島。2009年に政府の総合海洋政策本部が策定した「海洋管理のための離島の保全・管理のあり方に関する基本方針」に基づき、名称付与された離島のひとつ

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世界大百科事典(旧版)内の黒瀬の言及

【八百津[町]】より

…南部を西流する木曾川の低地と,木曾山脈に連なる標高500m前後の山地から成る。中心集落黒瀬は中世末期以来木曾川最奥の河港として栄え,その対岸の錦織(にしこおり)には近世初期に綱場が設置され,上流からの木曾材がここでいかだに組まれて川下げされた。明治中期以降舟運は衰え,大正期には製糸業が栄えた。…

※「黒瀬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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