鷹尾郷(読み)たかおごう

日本歴史地名大系 「鷹尾郷」の解説

鷹尾郷
たかおごう

和名抄」所載の山門郡鷹尾郷の系譜を引くとみられる中世の郷。高尾たかお郷とも記され、現鷹ノ尾一帯に比定される。文治二年(一一八六)六月二七日、藤原(上妻)家宗は「瀬高下庄内高尾郷」など一二ヵ所の地頭に補任されている(「大宰府守護所下文案」上妻文書/鎌倉遺文一)。鷹尾郷は平安時代末期に成立した瀬高下せたかしも庄に含まれたが、鎌倉時代初期までに開発が進められて鷹尾別符が成立するなど、鷹尾郷は再編されたと考えられる。郷内の地として「田吉入子・堀内世過屋敷(弘安八年五月二九日「散位藤原某裁許状」鷹尾神社文書/鎌倉遺文二〇)、「中島屋敷」(元亨四年三月二〇日「鎮西下知状案」深江文書/鎌倉遺文三七)などがみえる。


鷹尾郷
たかおごう

「和名抄」諸本とも文字の異同はなく、訓を欠く。「太宰管内志」は「多加乎と訓ムべし」とする。遺称地名として中世の鷹尾郷、近世の鷹尾村があり、現大和やまと町鷹ノ尾一帯に比定される。ここには、社伝によって貞観年中(八五九―八七七)創建とされる鷹尾神社が鎮座している。なお鷹尾の郷名を、水間君(水沼君)の鴻・養鳥人献上伝承(「日本書紀」雄略天皇一〇年九月四日条)、また天平一〇年(七三八)度の筑後国正税帳・周防国正税帳(正倉院文書/大日本古文書(編年)二)によって知られる筑後国からの鷹貢進に関連させて、鷹狩にちなむ地名と推定する説もあるが未詳

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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