高尾(読み)たかお

精選版 日本国語大辞典 「高尾」の意味・読み・例文・類語

たかお たかを【高尾】

江戸時代江戸吉原の三浦屋に抱えられていた遊女の名。初代から一一代まで数えられ、「子持高尾」「万治高尾」「紺屋高尾」などと異称をもつ者もいる。

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デジタル大辞泉 「高尾」の意味・読み・例文・類語

たかお【高尾】[東京の山]

東京都八王子市の地名高尾山東麓にある。多摩御陵などがある。

たかお【高尾】[人名]

江戸時代、江戸新吉原の三浦屋に抱えられた遊女の源氏名。11代続いた。「子持ち高尾」「万治高尾」「紺屋高尾」などの異称をもつ者もいた。

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朝日日本歴史人物事典 「高尾」の解説

高尾

江戸前・中期の遊女。高雄とも書く。江戸吉原京町1丁目の妓楼三浦屋四郎左衛門抱えで,この名を名乗った遊女は7人(庄司勝富『洞房語園』,原武太夫『高尾考』など)または11人(山東京伝『近世奇跡考』,山東京山『高尾考』など)あったといい,いずれも吉原を代表する名妓として知られ,京都の吉野太夫と並称された。三浦屋ではその代数を数えなかったといい,そのため伝によって代数や通称にも異同が大きい。著名なのは以下の通り。 ①妙心高尾。初代といわれる。寛永(1624~44)ごろ,元吉原時代の人で,隠退後尼となって妙心を名乗った。子連れで廓内を道中した子持高尾と同一人物とする説もある。②仙台(万治)高尾。2代といわれる。歴代高尾中でもっとも知られる。仙台藩主伊達綱宗の意に従わず,隅田川の三又で惨殺されたという。伊達騒動関係づけられた巷説が生まれ,「伽羅先代萩」「伊達競阿国戯場」などの浄瑠璃歌舞伎に仕組まれたほか,非業の死を遂げた高尾の亡霊がざんげする趣向は,舞踊劇「高尾物」という系列を生んだ。これを初代とする説のほか,近江彦根藩士の石井吉兵衛落籍された石井高尾と同一人物説もある。③西条高尾。3代といい,蝋燭問屋(御蒔絵師とも)西条吉兵衛に請け出された。④4代高尾には浅野因幡守が身請けした浅野高尾,島田重三郎を恋人とした島田高尾,水戸家の御用達商人水谷六兵衛に落籍された水谷高尾説がある。⑤紺屋(駄染)高尾。神田お玉が池の紺屋九郎兵衛に嫁した。5代,あるいは6代とする説もある。⑥子持高尾。6代目とされる。⑦六指高尾。7代とされる。足の指が6本あり,傾城としてただひとり足袋を履いたという。⑧姫路の大守榊原式部太輔に落籍された榊原高尾。10代とされる。

(宇田敏彦)

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改訂新版 世界大百科事典 「高尾」の意味・わかりやすい解説

高尾 (たかお)

江戸の傾城町吉原の三浦屋に抱えられた遊女(太夫)の名。京都島原の吉野太夫と並び称される。ただし,遊女が太夫名を継承することは珍しくなかったから,高尾太夫を名のった遊女は,7人とも11人ともいわれ,定説をみず,また歴代の生没年や経歴など,詳しいことはほとんど不明である。むしろ近世遊里が生んだ伝説上の人物とみることもできる。吉原の名妓のことゆえ,大名に請け出されるものもあり,仙台藩主伊達綱宗におもわれた仙台高尾(万治高尾),姫路藩主榊原忠岑が身請けしたといわれる榊原高尾などの名が高いが,それぞれ伊達騒動,榊原騒動と関係づけられて巷説となったもので,実説との間にはかなりの距離があろう。また彦根藩士石井吉兵衛となじんだ石井高尾,紺屋職人の妻になった紺屋高尾などが知られている。さらに高尾やそれにともなう騒動に取材した歌舞伎や浄瑠璃が生まれ,高尾物と呼ばれる作品群をなし,高尾太夫伝説を作り出すに,あずかって大きかった。
執筆者:

高尾(地名) (たかお)

三尾(さんび)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「高尾」の解説

高尾 たかお

江戸時代前期-中期の遊女(太夫)の名。
江戸新吉原京町の三浦屋抱えの名妓で,高尾太夫を名のったのは7人とも11人ともいわれる。それぞれの生没年,経歴などはほとんど不明で定説はない。後世,伊達騒動などとむすびついた巷説(こうせつ)を題材に「高尾物」とよばれる歌舞伎,浄瑠璃(じょうるり)などが多数創作された。高雄ともかく。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「高尾」の意味・わかりやすい解説

高尾
たかお

江戸時代,江戸新吉原の三浦屋の遊女の源氏名。7代続いたとも,11代続いたともいう。2代目高尾は万治高尾といわれ,伊達綱宗との関係が物語となり,ほかに5代目浅野高尾,11代目榊原高尾など大名との関係で有名。職人との関係で知られるのは6代目紺屋高尾である。

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デジタル大辞泉プラス 「高尾」の解説

高尾〔果物〕

東京都稲城市で生産されるブドウ。黒色大粒の種無し種。糖度は18度以上で酸味が少なく食味良好。東京都が育成して1971年に命名、1975年に品種登録。名称は都下の山「高尾山」にちなむ。

高尾〔落語〕

古典落語の演目のひとつ。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「高尾」の解説

高尾
(通称)
たかお

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
新曲高尾懺悔
初演
天明2.7(江戸・中村座)

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世界大百科事典(旧版)内の高尾の言及

【三尾】より

…京都市右京区梅ヶ畑(うめがはた)にある高雄(尾),槙尾(まきのお),栂尾(とがのお)の3地区の総称。京都から周山(しゆうざん)へ向かう周山街道(国道162号線)が御経坂峠から清滝川の谷へ下りた付近に位置し,渓谷美,紅葉の美しさと古刹(こさつ)で知られる。高雄には神護寺,栂尾に高山寺,槙尾に西明寺がある。【金田 章裕】…

【源氏名】より

…また遊女の名にも使われたが,のちには《源氏物語》と関係のない雪野・千代鶴などの漢字2~3字の名も源氏名といいならわした。源氏名は,おもに高級妓につけられ,なかには高尾のように通り名として何代も襲名することがあった。これに対し岡場所の女郎や芸者はおの字名(仮名2字におの字をつける。…

※「高尾」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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