鹿児島湊(読み)かごしまみなと

日本歴史地名大系 「鹿児島湊」の解説

鹿児島湊
かごしまみなと

鹿児島城下に設置された湊。近世初頭までは稲荷いなり川河口近くの田之浦たのうら付近が湊として利用されていたが、鹿児島城(鶴丸城)が築かれると、同城の前面も湊として整備されていった。「麑藩名勝考」によると、北からうえの浜・いちの浜・大門口だいもんぐち浜があり、これらを総称して前之まえの浜と称したという。「三国名勝図会」の田之浦の項に「つくしにとりて南のかた、大隅薩摩のほど、いづれの国とかや、おおきなるみなと侍り」という「長明無名鈔」記述が引用されており、さらに「昔は是より西南に廻り巨濶の湾港なりしを、今の府城を建てられしより繁昌日を逐ひ、人民蕃殖するがゆゑに、往々海面を築ひて旱地となりしと見えたり」とある。鹿児島城へ居城が移るまでは稲荷川河口が海の玄関であった。築地が築かれるまでは琉球・道之島通いの大船は祇園宮(現八坂神社)の脇に潮時を見て引入れ、多賀たが山の木につないでいたという(落穂集)。正保二年(一六四五)前之浜の石堤が壊れたため新たな係船場として高さ三間半・長さ五〇〇間の石堤を構築し、浚渫を行う許可を幕府から得た(島津国史)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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