落穂集(読み)おちぼしゆう

日本歴史地名大系 「落穂集」の解説

落穂集
おちぼしゆう

大道寺友山(重祐)

成立 享保一三年

写本 国立国会図書館(後編とも二〇冊)・国立公文書館内閣文庫(一〇巻二冊・一一巻三冊など)・東京都公文書館(三冊)ほか

解説 版本は延享元年版を都立中央図書館が所蔵。ほかに天保一三年版・安政三年版・刊行年不明などがある。徳川家康とその周辺に関する聞書を編年体でまとめた書。天文一一年の家康の誕生から大坂落城後の元和元年七月の改元まで。江戸初期を知るうえで貴重。

活字本 改定史籍集覧一〇・大日本思想全集三

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「落穂集」の意味・わかりやすい解説

落穂集
おちぼしゅう

江戸時代前期から中期にかけての兵法家(ひょうほうか)大道寺友山(だいどうじゆうざん)(重祐(しげひろ))の著。編年で徳川家康の事績を記した書と、問答の形で武士の有りさまなどを示した書の双方が、同じ『落穂集』の名で伝わっている。共に1728年(享保13)ごろの成立前者は編年体で1542年(天文11)の家康の誕生から元和の改元までの時期の、家康の事績や余話を記す。15巻前後の写本が多い。後者は「問曰(とうていわく)」「答曰」の形で、家康をはじめ諸大名や武家逸話、江戸町方の世相までを描く。10巻本。「落穂集追加」と題する写本もある。現行の活字本『大日本思想全集』3、『改訂史籍集覧』10に収める『落穂集』は後者になる。多くの写本が作られるうちに混乱が生じたものと思われ、両者が混在した写本もある。友山は兵法家として、これらの著書で「孫や子のためともなれと」、武士の有り様を伝えようとしたと考えられる。

[遊佐教寛]

『古川哲史著「大道寺友山について」(『近世日本思想の研究』所収・1948・小山書店)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

山川 日本史小辞典 改訂新版 「落穂集」の解説

落穂集
おちぼしゅう

徳川家康とその周辺に関する聞書を編年体でまとめた書。30巻。大道寺友山(ゆうざん)著。成立は1727年(享保12)冬。1542年(天文11)の家康誕生に始まり,大坂落城後の1615年(元和元)7月の改元に終わる。友山はほかに,家康入国から4代将軍家綱までの事柄を問答形式で語った「落穂集追加」(1728成立)を著した。「大日本思想全集」と「改定史籍集覧」所収本は,ともに「落穂集追加」である。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

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