日本歴史地名大系 「落穂集」の解説
落穂集
おちぼしゆう
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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江戸時代前期から中期にかけての兵法家(ひょうほうか)大道寺友山(だいどうじゆうざん)(重祐(しげひろ))の著。編年で徳川家康の事績を記した書と、問答の形で武士の有りさまなどを示した書の双方が、同じ『落穂集』の名で伝わっている。共に1728年(享保13)ごろの成立。前者は編年体で1542年(天文11)の家康の誕生から元和の改元までの時期の、家康の事績や余話を記す。15巻前後の写本が多い。後者は「問曰(とうていわく)」「答曰」の形で、家康をはじめ諸大名や武家の逸話、江戸町方の世相までを描く。10巻本。「落穂集追加」と題する写本もある。現行の活字本『大日本思想全集』3、『改訂史籍集覧』10に収める『落穂集』は後者になる。多くの写本が作られるうちに混乱が生じたものと思われ、両者が混在した写本もある。友山は兵法家として、これらの著書で「孫や子のためともなれと」、武士の有り様を伝えようとしたと考えられる。
[遊佐教寛]
『古川哲史著「大道寺友山について」(『近世日本思想の研究』所収・1948・小山書店)』
徳川家康とその周辺に関する聞書を編年体でまとめた書。30巻。大道寺友山(ゆうざん)著。成立は1727年(享保12)冬。1542年(天文11)の家康誕生に始まり,大坂落城後の1615年(元和元)7月の改元に終わる。友山はほかに,家康入国から4代将軍家綱までの事柄を問答形式で語った「落穂集追加」(1728成立)を著した。「大日本思想全集」と「改定史籍集覧」所収本は,ともに「落穂集追加」である。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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