麻布谷町(読み)あざぶたにまち

日本歴史地名大系 「麻布谷町」の解説

麻布谷町
あざぶたにまち

[現在地名]港区六本木ろつぽんぎ一―二丁目

城南の山手の麻布に及ぶ台地斜面の谷にある年貢町屋。東は筑前福岡藩松平(黒田)家中屋敷・美濃大垣藩戸田家上屋敷など、西は麻布今井谷あざぶいまいだに町と同御箪笥おたんす町、南は同西光寺さいこうじ門前と先手組屋敷、北は信濃松代藩真田家下屋敷。元和六年(一六二〇)八月起立と伝え、草創人で同年名主となった米良太左衛門の来歴は不明というが、かつて本村としていた今井村の由緒と比較して一〇〇余年は新規の草創であり、江戸城の虎門堀建設の際の来転を記さないところをみると、他の今井諸集落の移転と無関係に先んじて当地にあったと思われる。もとは今井谷村(今井村の谷地にある部分の意か)と唱えていたが、寛文一二年(一六七二)に今井の本村の名主百姓と当町、麻布台あざぶだい(のちの麻布市兵衛町)の名主百姓との間に紛争があり、代官吟味の結果、当町・台町とも高を分け年貢・諸役を勤めるよう裁定され、のち麻布谷町に改めた。麻布を冠称したのは、集落由来に起因すると思われる訴訟の結果による分離とともに、より南西にあった麻布の冠称地域の拡大によるとも考えられる(文政町方書上)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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