日本大百科全書(ニッポニカ) 「黄色酸化鉄」の意味・わかりやすい解説
黄色酸化鉄
おうしょくさんかてつ
yellow iron oxide
ゲータイトα-FeOOHからなる黄色顔料。フェリット黄ともいう。硫酸鉄(Ⅱ)を水溶液中で加熱しながら空気酸化し(このとき同時にアルカリを加える)さらに加水分解すると得られるコロイド状沈殿物を核生成の促進剤とする。加水分解の結果生じた硫酸は鉄を加え除去する。水溶液の濃度、温度、酸化速度などにより色調は左右され、粒子が小さいと緑がかった黄となり、大きくなるにしたがい、明るい黄から橙(とう)色になる。針状結晶で約250~350℃で脱水しα-Fe2O3を生成するため、あまり熱のかかる部分での使用はできないが、ほかはべんがらと同様、塗料、絵の具、セメントの着色材などに用いられる。分光反射率曲線では、約500ミリミクロン付近まで紫外部からの吸収が食い込むため黄の色調を示すが、この部分の吸収は合成品のほうが強く、色相はより濃い黄となっている。
[大塚 淳]