日本大百科全書(ニッポニカ) 「フェロキシハイト」の意味・わかりやすい解説
フェロキシハイト
ふぇろきしはいと
feroxyhyte
水酸化第二鉄鉱物の一つ。針鉄鉱(α(アルファ)-FeOOH)、β(ベータ)-FeOOH、鱗鉄鉱(りんてっこう)lepidochrocite(γ(ガンマ)-FeOOH)とは同質異像関係にあり、δ相(デルタそう)ともよばれる。古くから合成されていたが、常温の空気中では不安定でα相に転移しやすい。天然での存在が確認されたのは、1976年ロシアのチュフロフF. V. Chukhrov(1908―1988)らによる大西洋、バルト海、白海などの海底堆積(たいせき)物中からで、その後ドイツのシュバートマンUdo Schwertmann(1927―2016)らによって世界的に広く産出することが確認された。日本では、1997年(平成9)に南部松夫(1917―2009)らによって、岩手県滝鉱山産のマンガン鉱床の酸化帯から採集された二次鉱物中から確認された。命名は鉄、酸素、ヒドロキシ基を意味する英語の合成語による。
[加藤 昭]