黄龍の景観と歴史地域(読み)こうりゅうのけいかんとれきしちいき

世界遺産詳解 「黄龍の景観と歴史地域」の解説

こうりゅうのけいかんとれきしちいき【黄龍の景観と歴史地域】

1992年に登録された中国の世界遺産(自然遺産)。黄龍は、四川省の省都成都の北方、四川省アバ・チベット族チャン族自治州の松藩県にある、玉翠山麓の渓谷沿いにある湖沼群で、現在は「黄龍風景区」と呼ばれる自然保護区になっている。ここは世界遺産に登録されている名勝地・九寨溝(きゅうさいこう)に近い場所にあり、また、九寨溝と同じようにカルスト地形から流れ出した石灰分がつくりあげた独特の自然景観を見せている。ここには8群、合計3000以上に及ぶ大小の池沼が棚田のように連なり、滝を伝って水が次々と流れ落ちている。これらの池沼(ちしょう)は、湖底に堆積し、カルシウム化した石灰岩などにより、エメラルド・グリーン、黄金色などの神秘的な湖水を湛え、周辺の滝、森林などと相まって、その美しい景観が多くの人々を魅了している。この渓谷周辺の山域は、ジャイアントパンダ金糸猴(きんしこう)などの稀少動物も生息している。渓谷のなかほどにある黄龍寺は明の時代に建立された仏教寺院で、山々を背景に自然と一帯になった景観をつくりあげている。世界遺産に登録されたのは、この黄龍風景区と隣接する牟尼溝(むにこう)風景区を含むエリアである。この地域は、2000年にユネスコの「人間と生物圏計画」(MAB計画)の生物圏保護区に指定されている。◇英名はHuanglong Scenic and Historic Interest Area

出典 講談社世界遺産詳解について 情報

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