飼料作物病害図鑑 「黒さび病」の解説 黒さび病(オーチャードグラス) オーチャードグラスのさび病の中では最も被害の大きい重要病害。暖地では春先から病徴が出始め、さび病独特の腫れ物状の病斑を形成する。病斑は赤褐色または鉄さび色、楕円形〜条状で、長さ1〜2mm、幅0.5〜0.6mm程度となり、これが融合して不規則な形になる。成熟すると表皮が破れて中から赤褐色の夏胞子を飛散し、まん延する。夏から秋にかけて病斑は黒褐色になり、冬胞子を形成して越冬する。病原菌はオーチャードグラス栄養系の反応で、5つのレースに類別される。寄生性は自然界ではオーチャードグラスだけを侵し、中間宿主は見つかっていない。 黒さび病(チモシー) チモシーの代表的なさび病。春先から発生し、さび病独特の腫れ物状の病斑を形成する。病斑は赤褐色または鉄さび色、楕円形〜条状で、長さ1〜2mm、幅 0.5〜0.6mm程度となり、これが融合して不規則な形になる。成熟すると表皮が破れて中から赤褐色の夏胞子を飛散し、まん延する。夏から秋にかけて病 斑は黒褐色になり、冬胞子を形成して越冬する。病原菌の中間宿主はメギ属植物とされるが、確証はない。他の植物の黒さび病菌とは同種だが、寄生性が異な る。 黒さび病(ライグラス) 葉にさび胞子堆を形成する糸状菌病。発生は北海道の一部地域に限られ、被害は小さい。さび病独特の腫れ物状の病斑を形成し、病斑は赤褐色または鉄さび色、楕円形〜条状で、長さ1〜2mm、幅0.5〜0.6mm程度となり、これが融合して不規則な形になる。成熟すると表皮が破れて中から赤褐色の夏胞子を飛散し、まん延する。夏から秋にかけて病斑は黒褐色になり、冬胞子を形成して越冬する。病原菌はオーチャードグラス菌とは寄生性が異なる。 黒さび病(フェスク) 主にメドウフェスクに発生する。春先から冠さび病に先立って病徴が出始め、さび病独特の腫れ物状の病斑を形成する。病斑は赤褐色または鉄さび色、楕円形〜条状で、長さ1〜2mm、幅0.5〜0.6mm程度となり、これが融合して不規則な形になる。成熟すると表皮が破れて中から赤褐色の夏胞子を飛散し、まん延する。夏から秋にかけて病斑は黒褐色になり、冬胞子を形成して越冬する。病原菌はフェスクだけを侵し、中間宿主は見つかっていない。 黒さび病(ブルーグラス) さび病の一つであるが、被害はあまり大きくない。夏胞子堆は赤褐色から鉄さび色、楕円形から条状、大きさ1-2×0.5-1mm程度で、葉では両面に散在してしばしば融合し、不規則な形になる。夏から秋にかけて病斑は黒褐色の冬胞子堆となる。 出典 畜産草地研究所飼料作物病害図鑑について 情報