黒田御厨（読み）くろだのみくりや（くろだのしよう）

日本歴史地名大系

黒田御厨（黒田庄）
くろだのみくりや（くろだのしよう）

• 三重県：安芸郡
• 河芸町
• 北黒田村
• 黒田御厨（黒田庄）

奄芸（あんげ）郡黒田郷の名を負った荘園。この黒田郷に関係するとみられる伊勢神宮の荘園は、「神鳳鈔」奄芸郡の項に「外宮南黒田御厨三石」と「外宮籾一石北黒田御厨」があり、その名称から近世の南黒田村と北黒田村とに比定される。「神鳳鈔」は、鈴鹿郡に「黒田御厨十丁、一石三斗、六九十二月」（神宮文庫蔵御巫清直書写本には「内宮」と付記し、御贄米を「一石五斗」とする）と記載するが、鈴鹿郡には該当地名がないので所属の郡を誤ったもので、奄芸郡が正当であろう。この御厨については、建久三年（一一九二）八月の神領注文（神宮雑書）に「黒田御厨内　件御厨子細同前、供祭物　御贄米一石五斗」と現れている所で、南黒田御厨や北黒田御厨と比べると、内宮と外宮との違いがあるほか、供祭物も異なっているので、御厨として成立した際の事情を異にする別個の荘園と認められる。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」