黒田郷(読み)くろだごう

日本歴史地名大系 「黒田郷」の解説

黒田郷
くろだごう

這田ほうだ庄を構成する一郷で、現西脇市の中部一帯に比定される。名称は「和名抄」の多可たか郡黒田郷の郷名を継承する。久我家領。文永二年(一二六五)一一月三日の住吉神領杣山四至并造替諸役差定書(大川瀬住吉神社文書)に郷名がみえ、住吉神社(現三田市)造営に際して白米三斗のほか大豆・紙・薪などが割当てられている。文和元年(一三五二)一二月一九日には、沙弥寂仏が清水きよみず(現社町)に東這田庄黒田郷公文名内の古屋敷一段を寄進している(「沙弥寂仏田地寄進状」清水寺文書)


黒田郷
くろだごう

「和名抄」東急本は「久呂多」の訓を付す。「吾妻鏡」文治三年(一一八七)四月二九日条所載の三月三〇日付公卿勅使伊勢国駅家雑事勤否散状には不勤仕の荘園として「黒田庄二位経俊」がみえる。建久七年(一一九六)正月二三日の太神宮庁宣(神宮雑書)に「林御厨内北黒田郷」とあり、鎌倉期には南北に分れていた。「外宮神領目録」には「北黒田御厨籾一石」、「神鳳鈔」には「外宮籾一石北黒田御厨」とみえる。また「外宮神領給人引付」(神宮文庫蔵)所収の康安元年(一三六一)一〇月七日の度会神主文通貞松等申状には「伊勢国奄芸郡栗真庄黒田郷千王名」とある。


黒田郷
くろだごう

「和名抄」高山寺本・東急本ともに訓を欠く。平城宮出土木簡に「伊勢国飯野郡黒(田カ)」「矢田部宮足俵」とある。「外宮神領目録」には諸郷祭料として「二石四斗黒田郷」、「神鳳鈔」には「黒田郷六十丁一段二十歩」「黒田平田両牧御薗」がみえる。さらに康永三年(一三四四)の法楽寺文書紛失記(京都市田中忠三郎氏蔵文書)によれば、法楽ほうらく寺の田畑一町一反一八〇歩が「黒田郷田村四神山十一条カ里廿三四坪」「黒田郷九条高宮里十一坪」などに、仏供料田七段半が「黒田郷七条一堺里廿一坪」「同里廿坪」に散在する。


黒田郷
くろだごう

「和名抄」刊本に「久留多」と訓ずる。「大和志」は「方廃村存」として現磯城しき郡田原本町大字黒田に比定。天平一四年(七四二)一一月一七日の某郡司優婆塞貢進解(正倉院文書)に「黒田郷」がみえる。


黒田郷
くろだごう

「和名抄」所載の郷。高山寺本の訓は「久呂太」。「播磨国風土記」に黒田里がみえ、土の黒きをもって地名とすると記される。康平二年(一〇五九)七月二〇日の播磨国東大寺領畠注進状(東大寺文書)によると、郷内に奈良東大寺領畠三町が存在した。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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