黒谷川宮ノ前遺跡(読み)くろだにがわみやのまえいせき

日本歴史地名大系 「黒谷川宮ノ前遺跡」の解説

黒谷川宮ノ前遺跡
くろだにがわみやのまえいせき

[現在地名]板野町犬伏

阿讃あさん山脈南麓の平野部、黒谷川北岸の微高地上に所在する弥生時代後期―終末期・古墳時代後期・奈良時代―室町時代にわたる複合遺跡。四国縦貫自動車道建設に伴い、平成二年(一九九〇)から同三年にかけて約一万四五〇平方メートルが発掘調査された。検出された遺構面は二面に及び、地表下約一メートルで奈良―室町時代にかけての遺構群、約三メートルで弥生時代後期の水田を検出した。弥生時代後期の水田は大区画水田・小区画水田・畦畔・溝・池状遺構などからなり、大区画水田は二枚、広さ一〇―三〇平方メートルの小区画水田は四六枚以上を検出した。小区画水田は池状遺構を中心にその縁辺を取巻くように造成されている。池状遺構は南北約四四メートル以上・東西約五〇メートルに及ぶもので、縁辺部の小区画水田からの排水を一時的に滞水させた後、さらに溝を通じ他の水田へと給水したものと考えられ、当遺跡の灌漑システムを特徴づけるものである。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報